ホータン(読み)ほーたん(英語表記)Khotan

精選版 日本国語大辞典 「ホータン」の意味・読み・例文・類語

ホータン

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホータン」の意味・わかりやすい解説

ホータン
ほーたん / 和田
和闐
Khotan

中国、新疆(しんきょう)ウイグル自治区タリム盆地の南辺にあるオアシス、およびその中心となる県級市をさす。ホータン市はホータン地区の公署所在地で、人口32万1100(2011)。崑崙(こんろん)山脈から北流する河川によって灌漑(かんがい)されている。古くから東西交渉路上の要地として有名で、紀元前2世紀、初めて中国史書に登場するころにはすでに相当に繁栄している大オアシスであった。古代のホータンは于闐(うてん)とよばれ、イラン語系のことばを使うアーリア系住民が住み、ビジャヤ(尉遅(うっち))王家をいただく仏教王国として栄え、特産品の玉(ぎょく)をもって国際的に著名であった。

 しかし、中央アジアの全域に進行した住民のトルコ化やイスラム教への改宗が、11世紀のホータンでもみられ、東西交渉路が変化したこともあって、単なる一地方の中心にすぎなくなってしまった。カシュガルまでつながる喀和(かくわ)線が通じるほか、市中心部から南約12キロメートルにはホータン空港がある。

[堀 直・編集部 2018年1月19日]

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百科事典マイペディア 「ホータン」の意味・わかりやすい解説

ホータン

中国,新疆ウイグル自治区タリム盆地の南縁にあるオアシス都市漢字では和田。和【てん】,于【てん】(うてん)とも書き,コータンとも呼ばれる。原住民はアーリア系。西域南道の政治・文化の中心地で,漢〜唐代に東西貿易の中継地として栄え,東西文化の混じり合った独特の文化をきずいた。軟玉産地として有名。仏教の東伝にも重要な役割を果たし,大乗仏教が隆盛をきわめた。33万人(2014)。
→関連項目エフタルスタイン

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ホータン」の解説

ホータン
Khotan 于闐(うてん),和闐(わてん)

ホタン,コータンともいう。西域国名東トルキスタンのタリム南縁のオアシス都市国家として古くから栄え,中国の漢と交渉を持ち,土産の「于闐の玉」は中国人の関心のまとであった。原住民はアーリヤ系,言語はイラン系(コータン語)で,ヴィジャヤ王家のもとに西域南道の大勢力となり,10世紀の王,李聖天(りせいてん)などは皇帝を称した。東西交通の要衝にあたり,特に仏教の東伝に果たした役割は大きいが,11世紀にはイスラーム化した。

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世界大百科事典 第2版 「ホータン」の意味・わかりやすい解説

ホータン【Khotan】

中央アジアのオアシス都市。タリム盆地の南辺,崑崙山脈の北麓に位置する。現在の中国新疆ウイグル(維吾爾)自治区和田地区の和田市。人口14万(1994)。その大半をウイグル人が占める。漢代以来の中国文献には于闐(寘)(うてん)として記録され,近年には和闐とも写された。ホータン・サカ語文献にはhvatana,hvaṃna,hvanなどとして見え,イスラム文献にはkhotanとして見える。古来,〈崑崙の玉(ぎよく)〉などの名で呼ばれた良質の軟玉(ネフライト)の産地として知られ,またその絹,じゅうたんの生産も名高い。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ホータン」の解説

ホータン
Khōtan
和闐

中国新疆 (しんきよう) (シンチヤン) ウイグル自治区,タリム盆地南辺にあるオアシス都市。于闐 (うてん) ともいわれた
天山南路南道のインド・チベットに通ずる要地として栄え,仏教東伝に重要な役割を果たした。唐代にはその支配下にはいり,安西都護府 (あんせいとごふ) 四鎮の1つが置かれた。原住民はアーリア系で,のちイスラーム化した。玉の産地として有名。

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世界大百科事典内のホータンの言及

【仏像】より

…その北道の石窟でも礫岩質のもろい石質のゆえに石彫は発達せず,塑造を主体とし多くは彩色がほどこされ,金属製や木造のものもある。南道ではホータンにおいてクシャーナ朝が北西インドから勢力を伸長させたとき仏教の造形活動がはじまった。大谷探険隊が将来した金銅仏頭(3~5世紀)は中央アジアでは最も早期の遺品の一つで,パキスタン北部のスワート地方の石仏との類縁が指摘されている。…

※「ホータン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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