ポリ(英語表記)Pori

デジタル大辞泉 「ポリ」の意味・読み・例文・類語

ポリ(poly)

ポリエチレン」の略。「ポリバケツ」「ポリ袋」
他の語の上に付いて複合語をつくり、複数の、の意を表す。特に化学では重合体の意を表す。「ポリウレタン」「ポリガミー」

ポリ(Pori)

フィンランド南西部の都市。ボスニア湾に注ぐコケマエン川下流部に位置する。中世より交易拠点として栄えた。19世紀末に開設したポリ劇場、サタクンタ博物館がある。1966年より開催される国際的なジャズ音楽祭が有名。

ポリ

ポリス」「ポリスマン」の略。

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精選版 日本国語大辞典 「ポリ」の意味・読み・例文・類語

ポリ

  1. [ 1 ]ポリエチレン」の略。多く他の語と複合して用いられる。「ポリ袋」「ポリ容器」など。
  2. [ 2 ] 〘 造語要素 〙 ( [英語] poly- ) 他の外来語の上に付いて複合語をつくり、複数の意を表わす。特に化学では、重合体の意を表わす。「ポリウレタン」「ポリガミー」など。

ポリ

  1. 〘 名詞 〙 「ポリス」または「ポリスマン」の略。
    1. [初出の実例]「査公(ポリ)や監督の眼に付くところばかり」(出典:貧民窟探検記(1906)〈木工冠者〉二)

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化学辞典 第2版 「ポリ」の解説

ポリ(ビニルアルコール)
ポリビニルアルコール
poly(vinyl alcohol)

略称PVA.次の一般式,

で表されるビニルアルコールの重合体で,ポバールともよばれる.ビニルアルコールは単量体としては実在しないので,実際にはポリ(酢酸ビニル)をアルカリ,酸,アンモニア水などでけん化することにより得られる高分子化合物である.主鎖はビニルアルコール単位の繰り返しで,1,3-グリコール形であるが,1~2% 以内の1,2-グリコールを含んでいる.上述した方法で得られるポリ(ビニルアルコール)は,アタクチックポリマーであると考えられている.それにもかかわらず,このポリマーが高い結晶性を示すのは,-OH基の大きさが比較的小さく,-OH…O型の水素結合がさらにそれを補っているためと考えられている.ガラス転移温度約65~85 ℃.引張強さ,圧縮強さ,耐衝撃性,耐摩擦性にすぐれている.水には徐々に溶解するが,分子量が大きくなると溶解性は低下する.一般の有機溶媒には不溶であるが,酢酸,グリセリンアセトアミドフェノールには加熱すると溶解し,液体アンモニアに溶ける.ポリ(ビニルアルコール)のヒドロキシ基は,低分子多価の第二級アルコールと同じく,アセタール化,アセチル化,脱水など種々の反応をする.ポリ(ビニルアルコール)からつくられた繊維は,ビニロンの名称で市販されている.そのほか,のり剤,塗料,接着剤,乳化剤,洗剤,農薬のユニット包装用など広い用途をもつ.[CAS 9002-89-5]


ポリ(N-ビニルカルバゾール)
ポリビニルカルバゾール
poly(N-vinylcarbazole)

ビニル基の位置により種々のビニルカルバゾールがあるが,重合体として重要なのは,次に示すN-ビニルカルバゾールの重合体ポリ(N-ビニルカルバゾール)である.

重合体はラジカル重合イオン重合などで得られる.ガラス転移温度 Tg84 ℃.軟化温度100~150 ℃.密度1.20 g cm-3(23 ℃).電気的性質がポリスチレンと同程度で軟化点が高い.この重合体の特徴はその光伝導性にある.絶縁体(電気伝導率 10-16~10-18 Ω-1 cm-1)であるが,波長約400 nm 以下の光を照射すると,光伝導性を示す.一般に,この重合体のような大きなπ電子系の置換基が主鎖に直接結合している重合体は,無定形部分でも一本のポリマー鎖はかなり規則的な構造をとっていて,キャリヤーは,このポリマー鎖に結合しているもっとも近い置換基の間を容易にホッピング移動できると考えられている.色素,そのほかの光増感剤を加えると,普通の紫外光あるいは白色光下で光伝導性を示すようになる.現在,この性質を利用して,電子写真や静電気記録などに広く実用化されている.[CAS 25067-59-8]


ポリ(ビニルアセタール)
ポリビニルアセタール
poly(vinyl acetal)

ポリ(ビニルアルコール)をアセタール化した重合体の総称.すなわち,酸を触媒として,ポリ(ビニルアルコール)のヒドロキシ基をアルデヒドと反応させたものである.

R = Hのポリ(ビニルホルマール)やR = C3H7のポリ(ビニルブチラール)がその一例である.原料であるポリ(ビニルアルコール)は,ポリ(酢酸ビニル)の加水分解により合成されるので,このアセタール化反応は次の二つの方法で行われている.その一つは,加水分解とアセタール化を同時に進める方法であり,もう一つは,いったんポリ(ビニルアルコール)にしたのち,アセタール化する方法である.これらの方法は,アセタール化の程度によって使い分けられている.ポリ(ビニルアセタール)は,そのアセタールの種類や,加水分解,アセタール化の程度によって性質がいちじるしく異なる.たとえば,ガラス転移温度や軟化点は,アセタール化度が高くなるにつれて低下する.電気絶縁材料や塗料として用いられている.また,純国産合成繊維として有名なビニロンは,ポリ(ビニルアルコール)からつくられている.


ポリ(塩化ビニリデン)
ポリエンカビニリデン
poly(vinylidene chloride)

略称PVDC.一般式で表される塩化ビニリデンの重合体.工業的には,主として乳化重合懸濁重合で得られる.単独重合体は密度1.88 g cm-3(20 ℃),ガラス転移温度-18 ℃,軟化点約185~200 ℃,融点212 ℃,分解点210~225 ℃ である.このように軟化温度が高く分解温度に接近しており,また通常用いられる可塑剤との相溶性が悪いため,単独重合体の加熱成形は困難である.したがって,一般に,塩化ビニルアクリロニトリルなどと共重合して用いる.共重合体は軟化点が低く,可塑剤との混和性もよく,また単独重合体の結晶性を残している.透明で光沢があり比重が大きく,耐薬品性,耐摩耗性にすぐれ,吸水性が小さく難燃性である.用途は,合成繊維材料や,その他塩化ビニリデン樹脂として包装用フィルム,被覆用防湿剤,成形品などに用いられる.[CAS 9002-85-1]


ポリ(酢酸ビニル)
ポリサクサンビニル
poly(vinyl acetate)

略称PVAc.酢酸ビニルの重合体.塊状重合懸濁重合あるいは乳化重合によって合成される.この重合反応は,

と発熱量が比較的大きいため,工業的に重合を行う場合には,温度調節について特別な考慮が必要である.通常,ポリマー中にかなりの分枝が生じる.ポリ(酢酸ビニル)は,分子構造として大きなアセトキシ基をもつため代表的な無定形高分子で,軟化点が低い.したがって,その成形物としての用途はなく,エマルションとして水性塗料,接着剤,あるいはチューインガムなどの基材原料として用いられる.塗料,その他の用途はきわめて少ない.無色,透明で水に不溶.低分子量体は軟らかくゴム状であり,高分子量体は常温で寸法安定性をもつ.酸または塩基触媒共存下,アルコールでポリ(酢酸ビニル)を処理すると,アルコール分解を起こす.[CAS 9003-20-7]


ポリ(クロロトリフルオロエチレン)
ポリクロロトリフルオロエチレン
poly(chlorotrifluoroethylene)

略称PTFCE.一般式で表されるクロロトリフルオロエテンの重合体.懸濁重合乳化重合によりポリマーを得る.熱可塑性樹脂で融点,粘度が高く,熱伝導性が小さく,さらに加工に必要な粘度を得る温度と分解温度が接近しており,冷却条件により結晶化度が異なるため,成形に特別の注意が必要である.ポリ(テトラフルオロエチレン)に比べて誘電率は大きいが,耐薬品性,耐熱性がやや悪く,使用温度は-50 ℃ から150 ℃ である.ポリ(テトラフルオロエチレン)と同様,耐熱,耐薬品,電気的特性を利用した用途に広く用いられている.そのほか,通常成形が一応可能なため,電子機器部品や高寸法精度機器材料にも使用されている.[CAS 9002-83-9]


ポリ(メタクリル酸メチル)
ポリメタクリルサンメチル
poly(methyl methacrylate)

略称PMMA.メタクリル酸メチルの重合体.透明性のすぐれた樹脂で,しかも硬く強靭で耐衝撃性にすぐれ,加工も容易である.すぐれた透明性を必要とする場合には,一般に板,棒,円筒などの型のなかで塊状重合させて製品を得る.重合は,イオン重合ラジカル重合のいずれでも進行するが,高重合体を得るためにはラジカル重合が適している.密度1.9 g cm-3.転移点72 ℃ で,通常120~160 ℃ で成形される.風防ガラス,ドアーなどのほか,照明器具,計器類のカバーなどに利用される.ただし,耐擦傷性に乏しいのが欠点である.また,重合方法を適当に選ぶことにより,シンジオタクチックからイソタクチックに至る広範囲の立体規則性をもった重合体が得られるという特徴がある.[CAS 9011-14-7]


ポリ(テトラフルオロエチレン)
ポリテトラフルオロエチレン
poly(tetrafluoroethylene)

略称PTFE.一般式で表されるテトラフルオロエテンの重合体で,デュポン(DuPont)社の製品名“テフロン”で広く知られている.白色のろう状の熱可塑性樹脂で,市販成形用ポリマーは分子量が大きく(400万~1000万)高い溶融粘度を示し,融点(327 ℃)も高いため,通常の成形が困難である.したがって,常温で粉末を圧縮固形化し,それを融点以上で焼結する粉末成形法およびペースト押出法が用いられる.-100 ℃ から260 ℃ までの広範囲の温度で使用でき,溶融アルカリ金属ならびに高温下フッ素ガス以外のすべての酸,アルカリ,溶剤に耐え,また電気特性もすぐれている.腐食性薬品,有機溶剤用のシール,パッキング,パイプをはじめ,ジェット機,航空機,無線機器などの電気絶縁材料などに使用される.[CAS 9002-84-0]


ポリ(フェニレンオキシド)
ポリフェニレンオキシド
poly(phenylene oxide)

略称PPO.一般式で示される重合体.その誘導体の一つであるポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンオキシド)は,銅-アミン錯体系触媒を用いて,2,6-ジメチルフェノールの酸化カップリング反応により合成され,耐熱性高分子である.

溶融時の流動性が低いため,加工性が悪い問題点があった.しかし,ポリスチレンと任意の割合で相溶すること,ブレンドにより成形性がいちじるしく向上することが見いだされ,このPPO樹脂は,エンジニアリングプラスチックとして幅広い産業分野で使われている.


ポリ(塩化ビニル)
ポリエンカビニル
poly(vinyl chloride)

略称PVC.塩化ビニルCH2=CHClの重合体で,過酸化物などを触媒とするラジカル重合で得られる.古くから合成樹脂として研究,利用されてきた重合体で,非常に広い範囲に使用されている.熱および光に対して比較的不安定で,脱塩酸反応を起こし着色する.このため,バリウムやカドミウムなどの有害金属を含む安定剤が使用されるが,最近ではスズや亜鉛化合物などを主剤とする安定剤に切り換えられてきている.加熱によって塩化水素ガスを発生するので,都市廃棄物として焼却処理時に問題がある.最近では廃棄物としての再利用の研究も盛んであり,農業用フィルム廃棄物の再加工や,熱分解による炭化水素系油の製造などが行われている.[CAS 9002-86-2][別用語参照]塩化ビニル樹脂


ポリ(ビニルピロリドン)
ポリビニルピロリドン
poly(vinyl pyrrolidone)

略称PVP.N-ビニル-2-ピロリドンの重合体.微量のアンモニアを含むビニルピロリドンの水溶液に過酸化水素触媒を加えて重合させると得られる.白色の粉末.膜状および塊状重合体は透明で硬く比較的もろい.重合体は水および酸,アルコール類,ケトン類,ジオキサン,エチレングリコールなどに可溶.ベンゼン,ヘキサン,ジエチルエーテルなどに不溶.精製した低粘度重合体は代用血漿として使われ,重合体はビールなどの飲料添加剤,接着剤,フィルムなどの接着性向上剤,化粧品,せっけん製造の添加剤,紙の仕上げ剤などの用途がある.[CAS 25249-51-4]


ポリ(フッ化ビニリデン)
ポリフッカビニリデン
poly(vinylidene fluoride)

略称PVDF.一般式で表されるフッ化ビニリデンの重合体.高温・高圧下で,過酸化物を触媒として得られる.融点170 ℃,熱分解温度300 ℃ 以上のため加熱溶融による射出,押出,圧縮の各種成形法が適用できる.結晶性の熱可塑性樹脂で,機械的性質,熱安定性,耐候性,耐放射線性および低温特性にすぐれている.化学機器関係のバルブ,ポンプ部品,タンクやパイプのライニング,軸受,耐熱電線被覆,ソケット,コネクターに用いられる.また,エレクトレットおよび圧電体としてコンデンサーマイクロホン,そのほか音響製品などに使用されている.[CAS 25249-54-1]


ポリ(フッ化ビニル)
ポリフッカビニル
poly(vinyl fluoride)

一般式で表されるフッ化ビニルの重合体.高温・高圧下,過酸化物触媒で重合して得られる.高分子量重合体の軟化点は約220 ℃ で,この付近から熱分解がはじまるので,溶融成形法を用いるには安定剤を必要とする.極性溶媒に可溶でフィルム成形も可能である.耐薬品性,電気的性質がよく,可視部,紫外部の透過率が大きくすぐれた耐候性をもつ.とくにフィルムは耐候性,可撓(どう)性がすぐれ,熱収縮率もきわめて小さい.化学薬品,ベアリングの包装材料,防食用保護巻テープ,プラスチックや金属の表面加工,一般電気機器の絶縁用に利用される.[CAS 24981-14-4]


ポリ(ビニルブチラール)
ポリビニルブチラール
poly(vinyl butyral)

ポリ(ビニルアルコール)に酸触媒の反応下,ブチルアルデヒドを作用させた樹脂.単にブチラール樹脂とよぶことも多い.接着性,透明性がよく,接着剤,塗料などに使用されるが,とくに屈折率がガラスのそれに近いところから,安全ガラスの中間膜として有用である.[CAS 63148-65-2]


ポリ(ビニルホルマール)
ポリビニルホルマール
poly(vinyl formal)

ポリ(ビニルアルコール)水溶液に酸触媒下,ホルマリンを反応させてホルマール化した樹脂.電気絶縁性,機械的特性,接着性などにすぐれ,エナメル電線用ワニス,接着剤,塗料などに使用される.[CAS 9003-33-2]


ポリ
ポリ
poly

“多”または“複”の意味を示す接頭語.同一分子内に同じ基を多数もつ化合物や,単量体の重合で得られる多量体に接頭語として用いられる.たとえば,ポリエーテル,ポリ塩化ビニル,ポリスチレンなど.

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改訂新版 世界大百科事典 「ポリ」の意味・わかりやすい解説

ポリ
Pori

フィンランド南西部,コケマキ河口に位置する港湾都市。人口7万6151(2005)。製紙,織物,ビールなどの工業が盛ん。中世を通じて,北フィンランドの豊富な毛皮の,中部ヨーロッパとの交易地として栄えた。一帯は100年間に約70cmと隆起がはげしいため,町は1365年に当時の河口に移転し,さらに1558年,現在地に移転したが,現在すでに港と市街地は約20km離れている。画家ガレン・カレラの生地。毎夏開かれるジャズ・フェスティバルは国際的に有名。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ポリ」の意味・わかりやすい解説

ポリ
Pori

フィンランド南西端,トゥルクヤポリ県の都市。 12世紀頃開かれ,1365年には,ウルビラとして自治都市創設の勅許状が与えられ,1558年に現在地に移る。 16世紀と 19世紀の2度にわたる大火にもかかわらず,現在の位置が商業,交易の場所として最も理想的な立地条件を満たしているという理由で,同じ位置に再建されている。近代都市ポリは,劇場 (1884) ,サタクンタ美術館 (88) などのほかに,フィンランド最大の短波放送局,そして一年中利用できる港を有する一大産業・文化都市としての機能を果している。主要産業は,木材・木製品,ニッケル・銅精錬,機械工業などが盛ん。またタンペレとは鉄道で結ばれ,県都トゥルク,首都ヘルシンキとの間には航空路が開かれている。人口7万 6544 (1992推計) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポリ」の意味・わかりやすい解説

ポリ
ぽり
Pori

フィンランド西部の港湾・工業都市。湖水地帯からの唯一の西流排水河川であるコケマキ川の河口に発達した。人口7万5955(2001)。スウェーデン語名ビョルネボリBjörneborg。港は中世以来、スウェーデン人やその文化が湖沼地帯に浸透するのに重要な役割を果たした。湖水地帯西部に産する原木によって製材業などが栄えたが、近年では機械類、とくに造船や毛織物製造がこれをしのぐ重要な総合的工業都市となっている。

[塚田秀雄]

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百科事典マイペディア 「ポリ」の意味・わかりやすい解説

ポリ

フィンランド南西部,ボスニア湾岸の港湾都市。コケマエン川河口にあり,銅,ニッケルの製錬,ビール,製材,パルプ,マッチ工業などが行われる。外港マンチュルオトは冬季約2ヵ月凍結するが砕氷により一年中使用可能。8万3133人(2011)。

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デジタル大辞泉プラス 「ポリ」の解説

ポリ

NHKの子供向けテレビ番組『うごけぼくのえ』(1974年放映開始)に登場するキャラクター。ネズミの女の子。

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