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ドイツ中南部のフランケン地方を流れるライン川の右岸支流。全長524km。流域面積2万7225km2。チェコとの国境に近いオクセンコップ山東斜面に源を発し,フィヒテル山地を流れ下る白マイン川とフランケンアルプ北部に源を発し,ワーグナー音楽祭で名高いバイロイトを経て北流する赤ライン川が,クルムバハ下流で合流して,マイン川となる。ここから南西へかなりの傾斜を流下してバンベルクに至り,ここで左岸にレーグニツRegnitz川を合わせる。さらに西へ向かってシュタインガーワルトとホスベルゲ間の峡谷を流れ,シュワインフルトの盆地へはいる。付近はゴイと呼ばれる,貝殻石灰岩によるケスタの後背斜面で,レス(黄土)におおわれ,肥沃な農地が広がっている。マイン川はここを大きく湾曲しながら西流するが,谷の斜面にはブドウ園や果樹園が広がり,谷底には穀物畑や野菜畑が交錯する。この地域の中心は古い司教座聖堂の都市ビュルツブルクである。谷はここより下流でかなり広くなるが,再び山腹が迫ってシュペッサルトSpessartの山地を南側へ迂回して流れ,アシャフェンブルクで,ライン・マイン平野へ出る。川はさらに平野を西流し,マインツ対岸でライン川に合流する。この平野の中心はフランクフルト・アム・マインで,古くマイン川の渡河点として発生したが,今日ではヨーロッパの交通の中心として,商業,金融業,工業が発達している。
水路としては19世紀中ごろから大小の改修が行われ,1500トン程度の船が航行できるようになった。1846年には上流部のバンベルクからニュルンベルクを経て,ドナウ川支流のアルトミュールに至るルートウィヒ・ドナウ・マイン運河が完成し,ライン地方とドナウ地方が結ばれた。1922年からはライン・マイン・ドナウ運河の延長,改修工事が開始され,1350トンの運搬船が航行可能な運河の建設が進められた。1921年アシャフェンブルク,40年ビュルツブルク,61年バンベルク,72年ニュルンベルクと工事が進み,92年に完成した。この運河によって,ヨーロッパの最も重要な2地域,ライン地域とドナウ地域が相互に連絡されることになった。
執筆者:武田 むつみ
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
ドイツ中部を流れる川。ライン川の支流。バイエルン州北東部のフィヒテル山地とフレンキッシェ・アルプ山地に源を発して西へ流れ、ヘッセン州のフランクフルト・アム・マインを経てライン川に合流する。流長524キロメートル、その約4分の3は舟運が可能である。いまでは多くの堰堤(えんてい)によってせき止められて静水の貯水池の連続のような状態となり、堰堤の一端に設けられた閘門(こうもん)を通じて大型の内陸水運用船舶が上下している。中流部沿岸の南向き斜面ではブドウ栽培が盛んで、ワインの名産地が生まれ、下流部のフランクフルトを中心とするライン・マイン地方は、ドイツ屈指の工業地帯となっている。
[浮田典良]
ライン川最大の支流で全長約520km。フィヒテル山地から中部ドイツをほぼ東西に走り,ヴィースバーデンでライン川と合流する。またバンベルクから運河でドナウ川ともつながっている。流域にはフランクフルト・アム・マインはじめ著名な都市が多い。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
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