日本大百科全書(ニッポニカ) 「マクデブルクの半球実験」の意味・わかりやすい解説
マクデブルクの半球実験
まくでぶるくのはんきゅうじっけん
マクデブルクの市長であったゲーリケが自分の発明した真空ポンプによって空気の圧力の効果を示すために行った実験の一つ。二つの銅の半球をあわせて中の空気を抜いて真空にしたあと、半球を引き離すのに必要な力を測る実験である。この半球を町の名にちなんでマクデブルクの半球という。引き離す力として、おもりを下げたり、人が引くなど多様な実験が行われているが、とくにウマを使ったデモンストレーションが有名である。これについて1654年にレーゲンスブルクで皇帝や諸侯を前に行われたといわれることが多いが、誤りである。1657年にマクデブルクで初めて行われ、のち1663年にベルリンの王宮でも再現された。1672年に出版された著書『真空に関するマクデブルクの新実験』のなかに本人の報告がある。それによれば、8頭ずつ二組のウマで反対方向に引いたが、引き離すことが困難であり、ようやく離れたときには銃声のような大きな音がした。
[高田紀代志]