マス・コミュニケーション(読み)マスコミュニケーション

百科事典マイペディア の解説

マス・コミュニケーション

新聞雑誌ラジオ映画テレビジョン等のいわゆるマス・メディアを用いて,不特定多数の受け手に情報を流通させる社会的伝達手段。印刷技術や電信・電子メディアの発達とともに成立・発展し,とくに19世紀半ば以降急速に発達した。マス(大衆)に対してマス(大量)の情報を送るためには,専門的な機構組織が必要となり,伝達内容は画一化され,情報の流通も間接的・一方的になる。その結果,人々の意識や行動に与える影響はきわめて深く大きいと考えられ,それについてさまざまな議論が展開されてきた。現在,さらに双方向性メディアの出現などによって新しい局面が開かれたとする議論もあり,新たなマス・コミュニケーション概念の検討が提唱されてもいる。
→関連項目大衆

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山川 世界史小辞典 改訂新版 の解説

マス・コミュニケーション
mass communication

新聞・雑誌,ラジオ,テレビなど大規模な手段を用いて大量(mass)の情報を大衆(the masses)に伝達する行為,関係,制度の総称。日本での略称マスコミ」。ナチス・ドイツのポーランド侵攻によって第二次世界大戦が勃発した1939年9月,ニューヨークで開催されたロックフェラー・コミュニケーション・セミナーへの案内状で同財団事務局長ジョン・マーシャル学術用語として初めて使用した。このセミナーの中心メンバー,政治学者ハロルド・ラスウェル,社会統計学者ポール・ラザースフェルトなどにより,対ナチズム心理戦を目的としてマス・コミュニケーション研究は組織化された。公文書では,1945年11月制定のユネスコ憲章が初出。マスコミは,主に送り手である新聞社や放送局そのものを示すことが多いが,本来は受け手も含めた伝達過程全体をさす言葉である。この用語が送り手優位の傾向を帯びるのは,アメリカにおける反ファシズム・プロパガンダ研究の産物であることとも関係がある。総力戦体制下の宣伝研究では「思想戦弾丸」「心理兵器」の効果を最大限に引き出すことが目的とされたため,適当な情報を受け手の体内に浸透させ,その意識を意のままに操ることが可能と考えられた。今日では,情報化社会の本格化により,議論の枠組みや解釈のコードを提供する,マスコミの長期的な文化的機能を重視する新たな強力効果論が提唱されている。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

DBM用語辞典 の解説

マス・コミュニケーション【mass communication】

デモグラフィックとサイコグラフィックの観点からいわゆる大衆視聴者に対してアピールする大量伝達媒体。例えばテレビ、新聞、ラジオ等。

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