ポルトガル領〈隣接諸島〉。首都リスボンの南西約1000km,アフリカ沿岸から796kmの大西洋上に位置する。総面積779km2,人口24万5011(2001)。行政的には〈自治地方〉をなし,フンシャル県と呼ばれる。マデイラ島,ポルト・サント島,およびデゼルタス,セルバージェンの小群島からなる。全島が火山島。マデイラ島(728km2)が最大で総面積の92%を占める。気候はきわめて温暖。マデイラ島の主都フンシャルFunchalの年平均気温は18.8℃,年間降水量は552.3mmと少ない。雨は冬に集中し夏は乾燥する。1420年ごろポルトガル人により発見され,数年後植民が行われてからサトウキビ,ブドウ,小麦の栽培が盛んとなり,砂糖が重要な貿易品となった。発見以来,南アメリカ,アフリカとポルトガルを結ぶ航路の中継港として重要な役割を果たした。最高峰ルイボ峰(1862m)を頂点とするマデイラ島は無数の谷が刻まれた南北に広がる急斜面をもつ。山の斜面は階段状の畑地に開墾,整備され,灌漑も進んでいるが,耕地の開発はすでに限界に達している。土地は細分化され,小土地所有に基づく農業がマデイラ島の主要産業である。高度に応じてさまざまな作物が栽培され,主要作物はサトウキビ,ブドウ,トウモロコシ,小麦など。バナナ,マンゴーなど熱帯性の果樹も栽培される。良質のブドウを原料とする甘味酒マデイラ酒は同島の特産として名高い。ヤナギの枝を用いるさまざまな細工物,マデイラ刺繡も有名で,漁業も盛んである。豊かな自然景観,温暖な気候により,ヨーロッパ諸国からの観光客も多く,とくに避寒地として有名。1年を通じて海水の温度は18℃~20℃と高く,冬でも海水浴が可能である。主都フンシャルは空路,航路でリスボンと結ばれ,南北アメリカ,アフリカとヨーロッパを結ぶ交通の要地として重要な役割を果たしている。
執筆者:彌永 史郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
大西洋上のポルトガル領。1420年代から植民が開始される。サトウキビ栽培が導入され,大西洋アメリカにおける砂糖プランテーション発展の先駆けとなった。マデイラ酒と称される独特なワインでも有名。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
…そして49年にはブランコ岬近くのアルギン島に最初の商館が開設された。 一方,これと並行して大西洋のマデイラ,アゾレス両諸島にも植民が行われた。これらの島々ではサトウキビやブドウがプランテーション方式で生産され,アフリカ西海岸で入手した黒人奴隷が使用された。…
…正式名称=ポルトガル共和国República Portuguesa面積=9万2082km2(マカオは含まない)人口(1995)=1080万人首都=リスボンLisboa(日本との時差=-10時間)主要言語=ポルトガル語通貨=エスクードEscudoイベリア半島南西部の一隅を占める大陸本土と,大西洋上のマデイラ,アゾレス両諸島とからなる共和国。そのほか中国に海外領土澳門(マカオ)(面積16km2)を領有する。…
※「マデイラ諸島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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