ママリー(読み)ままりー(英語表記)Albert Frederick Mummery

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ママリー」の意味・わかりやすい解説

ママリー
ままりー
Albert Frederick Mummery
(1855―1895)

イギリス登山家。生業は製革業で、1871年ごろよりアルプスの登山を行いソムット稜(りょう)からのマッターホルンをはじめ、グランシャルモ、エギュイーユ・ベルトの西壁などの困難なルート初登攀(とうはん)を行う。88年カフカスのディクタウ初登頂。単に頂上を目ざすだけでなく、より難度の高いルートからの登攀により、登山の困難さそのものを楽しむ登山を主張した。この思想ママリズムとして登山界に大きな影響を与え、アルピニズムの流れを変えた。95年ナンガ・パルバトで行方不明となった。著書に『アルプス・コーカサス登攀記』がある。

[徳久球雄]

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世界大百科事典 第2版 「ママリー」の意味・わかりやすい解説

ママリー【Albert Frederick Mummery】

1855‐95
イギリスの登山家。家業は革なめしであったが,経済学の研究にはげんだ。1871年ころからマッターホルンのツムット稜,エギーユ・ベルト西面,グレポンなど困難な登山を行い,頂上のみをめざす登山とちがって,より困難なルートから心身極限を求めて登るということを心がけた。後にこれはママリズムとして,登山家たちの間の新しい思潮となり,多くの影響を与えた。1888年カフカスのディフタウ初登などを行い,95年ヒマラヤのナンガ・パルバットのディアミライ氷河で行方不明となった。

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367日誕生日大事典 「ママリー」の解説

ママリー

生年月日:1855年9月10日
イギリスの登山家
1895年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典内のママリーの言及

【アルプス[山脈]】より

…また地元のガイドにリードされることなく,登山家自らの技術によって山を登ることに新しい喜びを見いだす人たちが現れ,登山の形式も変わってきた。これを実践した代表的な人物は,マッターホルンのツムット稜やダン・デュ・ルカン,グレポンなどの岩峰の初登はんで名声を高めたイギリスのA.F.ママリーである。より困難なルートに挑むスポーツ・アルピニズムは隆盛の一途をたどり,数多い未登の岩壁も20世紀に入って次々と完登されたが,いつまでも登はんを許さない三つの大岩壁があった。…

【登山】より

…同時に新しい山々を求めカフカス,アンデスなどに目を向け,カフカスのエリブルス東峰(5621m)は1829年にK.ハシロフ,西峰(5642m)は74年イギリスのF.グローブ,アンデスの最高峰アコンカグア(当時7035m)は97年イギリスのE.A.フィッツジェラルド隊,ニュージーランドのクック(3764m)は94年,アフリカのキリマンジャロ(5895m)は1889年,アラスカのマッキンリー南峰(6191m)は1913年に初登頂された。19世紀の終りに活躍したイギリスの登山家A.F.ママリーはより困難なルートからの登山を提唱し,スポーツ登山はその困難さの中に喜びを見いだすと説き,これはママリズムとして近代のアルピニズムのおもな思想となった。 ヒマラヤは,18世紀ごろからキリスト教の宣教師やインドの測量局員などが足を踏み入れていたが,純粋な登山を目的にヒマラヤを訪れたのはイギリスのW.W.グレアムで,1883年ガルワールおよびシッキムの7000m近い数峰を登り,95年にはママリーがナンガ・パルバット(8125m)で消息を絶った。…

【ヒマラヤ[山脈]】より

… ヒマラヤ登山を目的とした最初の人物はイギリスのW.W.グレアムで,1883年にアルプスのガイドを伴って,シッキムやガルワールなど各地の山を試登,現在のチャンガバン(6864m)に登ったと主張したが,これはヒマラヤ研究家たちによって否定されている。99年には戦闘的登攀論の主唱者A.F.ママリーがナンガ・パルバットに挑んだが,遭難。カラコルムでは1892年にM.コンウェーらが大氷河群の踏査に成功を収めた。…

※「ママリー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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