改訂新版 世界大百科事典 「マリツァ川」の意味・わかりやすい解説
マリツァ[川]
Marica
ヨーロッパ南東部,バルカン半島のブルガリア,ギリシア,トルコ3国を流れる川。古称ヘブロスHebros川,トルコ語ではメリチMerich川,現代ギリシア語ではエブロスÉvros川と呼ばれる。リラ山脈のムサラMusala山中にあるマリツァ湖に源を発し,ブルガリア南部の平野を西から東に流れてトルコ領に入り,エディルネの近くでアルダArda川とトゥンジャTundza川を合流して南下し,ギリシアとトルコの国境線をつくりながらエーゲ海に注ぐ。全長524.6km(うちブルガリア領内321.6km)。平坦地を流れているので支流が多く,その数100に近い。上流のブルガリア領内の流域(面積5万3000km2)は肥沃な農業地帯である。岩礁や砂堆が多く,船舶の航行はほとんど不可能。下流域(トルコ領内)は湿地帯で排水も悪く,洪水時に大きな被害がある。沿岸にパザルジク,プロブディフ(ともにブルガリア),エディルネ(トルコ),スーフリオン(ギリシア)などの諸都市がある。
執筆者:山本 敏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報