ミチヤナギ(読み)みちやなぎ

改訂新版 世界大百科事典 「ミチヤナギ」の意味・わかりやすい解説

ミチヤナギ
knot-grass
Polygonum aviculare L.

世界に広く分布し,温帯から亜熱帯路傍や農耕地に生じる雑草道端に生え,葉形がヤナギに似るのでこの名がある。タデ科の一年草。全草無毛,茎は直立か斜上し,または地表に伏す。よく分枝し長さ10~40cm,円柱形で多くの縦すじがあり,硬くしなやか。根も深く地中に入るので,踏みつけに耐える。葉は互生し,長楕円形,鈍頭,長さ1.5~4cm。葉柄に関節がある。葉鞘(ようしよう)は白膜質で裂ける。花は茎の伸長にともない展開した葉の葉腋ようえき)の花鞘に,5~6個を順次つけていくので花期は長く5~10月。花被片は5枚,淡緑色,外縁は白色または淡緑色,長さ2.5mm。おしべは8本,花柱は3本。堅果は三稜形で長さ3mm,開花後に生長した花被に包まれる。茎葉を乾燥したのが漢方の萹蓄(へんちく)で,クエルセチンquercetinとその配糖体を含む。煎汁を黄疸に服用したり,カイチュウの駆虫剤,利尿剤として用いる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミチヤナギ」の意味・わかりやすい解説

ミチヤナギ
みちやなぎ / 路柳
[学] Polygonum aviculare L.

タデ科(APG分類:タデ科)の一年草。全体無毛で緑色、乾いても黒変しない。茎は基部で分枝して立ち上がり、高さ10~40センチメートル、縦条が多く節は膨れる。葉は短柄があって互生し、長楕円(ちょうだえん)形で長さ2~4センチメートル、先は丸みを帯び、茎とともに無毛で、裏面は中央脈が浮き出る。葉鞘(ようしょう)は膜質で不規則に細裂し、細脈がある。7~9月、葉腋(ようえき)に緑色の小花を数個束生する。花被片(かひへん)は5枚で、縁(へり)は白色または桃色を帯びる。痩果(そうか)は三稜(りょう)形で細かい皺(しわ)があり、花被片に包まれる。道端に普通に生える雑草で、日本全土、および北半球の温帯、亜熱帯に広く分布する。名は、葉形がヤナギに似て、道や庭に生えることにより、別名ニワヤナギ(庭柳)ともいう。若葉食用となる。また全草にケイ酸を含み、乾燥して黄疸(おうだん)、腹痛、虫下しなどに用いる。

[小林純子 2020年12月11日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミチヤナギ」の意味・わかりやすい解説

ミチヤナギ
Polygonum aviculare; bloodwort

タデ科の小型の一年草。ニワヤナギともいう。世界中の温帯から亜熱帯に広く分布し,原野や路傍にごく普通にみられる。茎は分枝して斜上または直立する。葉は線状楕円形で互生し,基部の葉鞘は膜質で細い脈をもつ。春から秋にかけて,葉腋に数個ずつ固まって小さい花をつける。花被は5裂し,緑色であるが,縁は白または紅色を帯びる。果実は3稜形の痩果。近縁種のアキノミチヤナギ P. polyneuronは植物体が白粉を帯び,乾燥すると暗褐色になる点で区別される。

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