細胞内の小器官であるミトコンドリアが保有している固有・独自のDNA(デオキシリボ核酸)。ヒトミトコンドリアDNAの全塩基配列の長さは1万6569塩基対で、環状二重鎖構造をとり、計37種類のミトコンドリア遺伝子(ミトコンドリアゲノム)をコードしている。
細胞の核内に染色体として存在するヒトの遺伝子(ゲノムDNA)、すなわち核のDNAは基本的に両親由来の2コピーしか存在しない。しかしヒトミトコンドリアDNAは2000コピー程度存在するので、酸化などの傷害を受けやすく、また修復活性が弱いことなどから変異しやすい。そのため多型性が高く、微量試料や汚染・分解されている陳旧試料からも検出しやすい。
ミトコンドリアは細胞のエネルギー代謝、遺伝的に正確にプログラムされている細胞死にかかわるアポトーシス、さらに生殖細胞の形成に関与している。ミトコンドリアDNAは卵細胞のみを通して伝えられる細胞質遺伝をとり、受精後、子の遺伝形質は母親の生殖細胞を通してのみ発現する。すなわち、母親がもつ病的形質は男女の区別なく、すべての子に伝達されるが、その子が男であると、その形質は次世代に伝達されない。これは卵子に比べ精子のミトコンドリアDNAが極端に少ないことや受精の際に排除されることなどがおもな原因とされる。そのため親子鑑定では父子鑑定には使えないが、母子鑑定、母方をさかのぼった血縁の鑑定に利用できる。また陳旧試料からも検出しやすいので、歴史的試料を対象とする研究的な鑑定にも利用される。
[澤口彰子]
『澤口彰子・溝口秀昭・清水勝編著『臨床と血液型』(1993・朝倉書店)』▽『日本DNA多型学会編『DNA鑑定についての指針、DNA多型』(1998・東洋書店)』▽『「日本法医学会親子鑑定についてのワーキーンググループ」(『日本法医学雑誌』53号所収・2000・日本法医学会)』▽『勝又義直著『DNA鑑定――その能力と限界』(2005・名古屋大学出版会)』▽『澤口彰子他著『臨床のための法医学』第5版(2005・朝倉書店)』
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