イスラムの礼拝堂モスクの四壁のなかで,とくに聖地メッカの方向に面する側の内壁に設けられるアーチ形のニッチ(壁龕)。主軸となる中央廊(幅広く一段高い)とキブラ壁との接点などに設置されることが多いが,小型のミフラーブが数基加えられることもある。イスラム教徒はメッカの方角(キブラ)に向かって礼拝を行うが,ミフラーブはキブラの表象といえる。しかし,さらに重要なことは預言者ムハンマドが信徒たちに神の啓示を伝えた地点を記念する象徴性をそなえていることである。したがって,ミフラーブはモスクの中枢としてしっくい,大理石,タイル,ガラス・モザイクなどで集中的に装飾される。形式的には,古典古代のニッチやビザンティン教会のアプス(後陣)からヒントを得たと考えられるが,すでに8世紀初期にはアーチ形のニッチがミフラーブの形式として確立されていたといわれる。その代表的な例としては,カイラワーンの大モスクのミフラーブ(9世紀。タイル,大理石),コルドバのメスキータのミフラーブ(10世紀。しっくい,ガラス・モザイク)があげられる。
執筆者:杉村 棟
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モスクの礼拝室においてカーバ神殿の方向に面した壁に設けられるアーチ型のくぼみで,礼拝のためのキブラを示す目印。法学派ごとの礼拝の作法の相違や力関係を反映し,専用のミフラーブが複数併設される場合もあった。
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…また,視覚的にも単調きわまりない環境に取り囲まれた都市などオアシスの集落では造園に力が注がれ,噴水や縦横に配置された水路を基本とした庭園が随所に設けられた。 宗教的な観点からは,礼拝のために地域住民の大部分を収容できるスペースがモスクにまず要求され,さらに,聖地メッカに面する内壁面に設けられ,礼拝の方向(キブラ)を示すミフラーブ(壁龕)が必須条件となり,そのほかに礼拝を指導するイマームの座席ともいうべき階段状のミンバル(説教壇),礼拝に参集すべくムアッジンが信徒に呼びかけを行う高塔ミナレット(マナーラ),礼拝の前に行う潔斎(ウドゥー)のための泉亭ないし水槽などが重要な条件となった。 イスラム世界の建築に見られる閉鎖性の側面は,特に民家の造りに影響を及ぼした。…
…モスクは必ずしも建造物に限られない。イードの際のように,地域住民全体が礼拝を行うミフラーブ壁の設けられた広場(ムサッラーmuṣallāまたはイードガー)や,1枚の礼拝用じゅうたんも,それが聖なる礼拝の場である以上モスクである。【嶋田 襄平】
[モスク建築]
イスラムでは礼拝のために祭壇,聖具,聖画,聖像の類が使用されることはない。…
※「ミフラーブ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
日本の上代芸能の一つ。宮廷で舞われる女舞。大歌 (おおうた) の一つの五節歌曲を伴奏に舞われる。天武天皇が神女の歌舞をみて作ったと伝えられるが,元来は農耕に関係する田舞に発するといわれる。五節の意味は...
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