ミヤオ(苗)族(読み)ミヤオぞく(英語表記)Miao

百科事典マイペディア 「ミヤオ(苗)族」の意味・わかりやすい解説

ミヤオ(苗)族【ミヤオぞく】

ミャオとも記す。中国,雲南四川貴州湖南湖北・広西などの省区の山岳地帯に住む民族。ベトナムラオス・タイなど東南アジア大陸部にも居住自称〈モン〉〈ムー〉〈コション〉で〈ミヤオ〉は漢族側からの呼称。言語はミヤオ・ヤオ語派に属する。女性は華麗な刺繍を施した衣服に銀製装身具をつけ,〈鼓社節〉〈苗年〉〈竜船競技〉などの行事,楽器〈蘆笙(ルーシェン)〉など文化的特徴が豊富。中国内の人口は約738万人(1990)。→ミヤオ(苗)語
→関連項目海南[省]貴州[省]吉首広西チワン(壮)族自治区湖南[省]コーラオ族ゴールデン・トライアングルジャール平原沈従文通什ベトナムヤオ(瑶)族

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミヤオ(苗)族」の意味・わかりやすい解説

ミヤオ(苗)族
ミヤオぞく
Miao

メオ Meoともいう。中国を中心にベトナム,ラオス,タイの各地に分布する山岳民族。言語はヤオ語と関係が深いがその系統には諸説ある (→ミヤオ=ヤオ諸語 ) 。中国のミヤオ族はモン,ムン,ムなどと自称し,70~80の言語や服装などの習俗もそれぞれ異なった集団に分れ,貴州省を中心に湖南,四川,広西,雲南など南部に居住し,人口約 734万 (1990) 。ベトナムでは女性の服装の色によって,白ミヤオ,青ミヤオ,黒ミヤオ,赤ミヤオの各集団に区別される。人口約 40万と推定される。タイのミヤオ族は主として北部に居住し,モン Hmongと自称する。集団は服装の色によって青と黒に大きく分けられる。ほとんどのミヤオ族は平屋に住み,農業を営み,とうもろこしや米,けしを栽培する。政治組織は中国では各地にミヤオ族の自治州,自治県が設立されているが,ラオス,ベトナムでは比較的限られた地域に集っているため村落段階より発達した組織をもっている。精霊信仰が盛んで,動物供犠も行われ,祖先崇拝が広く行き渡っている。一夫多妻婚が認められているが,実際にはあまり行われていない。世帯は通常大家族であるが,最近は世代交代とともに核家族化が進行している。

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