ミュラー(スイスの物理学者 Karl Alex Müller)(読み)みゅらー(英語表記)Karl Alex Müller

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ミュラー(スイスの物理学者 Karl Alex Müller)
みゅらー
Karl Alex Müller
(1927―2023)

スイスの物理学者。バーゼルに生まれる。チューリヒのスイス連邦立理工科大学で物理学を学び、1958年に同大学で博士号を取得した。ジュネーブのバッテル記念研究所で磁気共鳴の研究に従事したあと、1963年IBMチューリヒ研究所に入所し、1982年にフェロー(上級研究員)となった。ニューヨークのIBMトーマス・ワトソン研究所に2年間在籍した以外は、IBMチューリヒ研究所で研究を続けた。

 ベドノルツとともに強誘電体および超伝導の研究を行った。超伝導とは、カマーリン・オネスによって発見されたもので、ある温度以下で、金属や合金の電気抵抗がゼロになる現象である。当時わかっていた臨界温度は20K(零下253℃)ぐらいであったが、彼らは1986年にランタン、銅、バリウムを含む酸化物のセラミックスが、30Kを超える温度で超伝導状態を示す物質であることを発見した。この現象は高温超伝導とよばれた。ミュラーとベドノルツは翌1987年に、発見から1年目という異例の早さでノーベル物理学賞を受賞した。このセラミック超伝導体の発見によって、「超伝導フィーバー」ともいえる超伝導体開発競争が展開されることになった。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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