日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムベ」の意味・わかりやすい解説
ムベ
むべ / 野木瓜
[学] Stauntonia hexaphylla (Thunb.) Decne.
アケビ科(APG分類:アケビ科)の常緑藤本(とうほん)(つる植物)。トキワアケビ、ウベともいう。葉は互生し、3~7小葉からなる掌状複葉。托葉(たくよう)はない。雌雄同株。4~5月、総状花序をつくり、単性の白色花を3~7個開く。萼片(がくへん)は6枚で半開する。花弁はなく、雄花は6本の雄しべが花糸の部分で合着する。雌花は6本の仮雄蕊(かゆうずい)と3枚の心皮がある。果実は大きく、紅紫色に熟すが、裂開しない。中に黒くつやのある種子が多数ある。山野に普通に生え、関東地方以西の本州から沖縄、および朝鮮半島、台湾に分布する。果肉は甘く食用となり、根、茎は利尿薬とする。樹は生け垣、盆栽に用いることがある。
[寺林 進 2019年9月17日]