メスティソ(読み)めすてぃそ(英語表記)mestizo

デジタル大辞泉 「メスティソ」の意味・読み・例文・類語

メスティソ(〈スペイン〉mestizo)

メスチゾ

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百科事典マイペディア 「メスティソ」の意味・わかりやすい解説

メスティソ

メスチソとも。スペイン語混血混血児の意味で,アメリカ大陸,主として中南米に分布するスペイン人,ポルトガル人とインディオとの混血をさす。植民地時代には社会的地位は低かったが,時代が下がるにつれて人口が増え,白人とインディオの中間に位置するようになった。さらに独立後は社会的文化的に大勢を占め,ラテン・アメリカでは国民文化担い手とされている。
→関連項目ガウチョケーナ混血チャベストゥパック・アマルーペルーボリビアマチスモムラートメキシコ(国)ラテン・アメリカ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「メスティソ」の意味・わかりやすい解説

メスティソ
めすてぃそ
mestizo

ラテン・アメリカのスペイン語圏で白人と先住民(インディオ)の混血をさす語。スペインによる征服以来混血が進み、多くの国で混血が人口の大きな部分を占めるようになり、混血は白人と先住民の間にたつ中間層となってきた。メスティソは混血をさすといっても、生物学的な意味での混血を意味する概念ではない。ラテン・アメリカにまったく白人の血が混じっていない先住民はいないと考えられているのである。先住民出身であっても、都市の労働者や、故郷とは違う場所に移住したものもメスティソのなかに含めて考えられる。この意味ではメスティソは、先住民の共同体を離れて、より文明化した生活様式を選び取った人々と考えることができる。このような人々をペルーの白人たちはチョロCholoとよび、先住民はミスティMistiとよぶ。パラグアイでグァラニGuarani、ブラジルでカボクロCabocloとよばれる地方農民もメスティソである。

[木村秀雄]

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世界大百科事典 第2版 「メスティソ」の意味・わかりやすい解説

メスティソ【mestizo[スペイン]】

先住民(インディオ,インディヘナ)と白人の混血を指す。広くは,いろいろな人種の混血を意味する。現在のラテン・アメリカでは国民文化の担い手とされているが,植民地時代の社会的地位は低かった。とくに,16世紀には不法な交わりから生まれた者として社会的に認められず,ムラート(白人と黒人との間の混血)とともに法的には最下位を占めた。しかし,時代が下るにつれ人口も増え,社会的地位も安定し,植民地時代における平均的地位は,次のように各種の人種の中間に位置した。

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世界大百科事典内のメスティソの言及

【エクアドル】より

…特にグアヤス,マナビ両州の未開拓地が開発されるに伴って,山地からの労働人口が大量にこの地域へ流入した。海岸地方の人種構成には,スペイン系の白人と黒人との混血ムラート,黒人とインディオとの混血モントゥビオが含まれるが,山地では白人とインディオとの混血のメスティソが主体であり,この点からも山地と海岸地方の住民の顔かたちにわずかな相違が認められる。メスティソと呼ばれる住民には通常純粋のインディオをも含み,社会・人種的にみてエクアドルはペルーおよびボリビアと同様,〈インディオの国〉と言われる。…

【混血】より

…こうしたことから人種的純粋性と同質的民族国家意識の強い英語系植民地では混血が避けられ人種隔離が行われたが,スペイン・ポルトガル系植民地ではそれほど混血が嫌われず,結果的には植民地に多数の混血が誕生し人種的階級が成立した。優秀白人人種と劣等人種とされた人々(先住民インディオ)の間に生まれた混血は,ムラートメスティソなどと呼ばれた。また黒人と先住民との混血はサンボなどと呼ばれ,いずれも社会的には両者の中間に置かれ,多かれ少なかれ差別されている。…

【ペルー】より

…これは国土の10分の6を占めるが,人口は少なく,開発も遅れている。
【社会】
 ペルー社会は征服,植民地化の歴史を反映して,先住民(インディオ),白人(クリオーリョ),および両者の混血(メスティソ)により構成されている。ただし人種的な意味で純粋な先住民は,モンタニャに居住するアラワク語系,パノ語系その他の諸族を別にすれば,ほとんどかあるいはまったく存在しない。…

【ボリビア】より

…ボリビアにおいては,その人種区分は,文化的・社会的な要素が重視され,とくに使用言語によるところが大きく,単に身体的特徴や血統によるものではない。白人とインディオの混血のうちでも白人の要素が優越している人々はメスティソと呼ばれている。これに対して,チョロcholo(半ば白人化したインディオ)というひとつの社会階層概念を表す語で呼ばれている人々がいる。…

【ラテン・アメリカ】より


[旧イギリス領アメリカとの違い]
 ラテン・アメリカの名が示すように,基本的にはスペイン,ポルトガルによって代表されるラテン系ヨーロッパ文化がこの地域の文化的骨格をかたちづくっているが,コロンブス到着以前に長い歴史的展開を示した先住民文化や,16世紀以後奴隷として連れて来られたアフリカ人の文化も,それぞれの地域の文化に強烈な特色を与えている。同じくヨーロッパ人,先住民,アフリカ人によって人口構成の基礎がつくられたアメリカ合衆国の場合は,各民族集団間の隔離が特色であったのに対し,ラテン・アメリカでは,3者間に非常な血の混合が起こり,メスティソ(白人と先住民の混血),ムラート(白人と黒人の混血),サンボ(先住民と黒人の混血)などの集団が多数発生して,社会的に重要な意味をもっている点が注目される。先住民についていえば,アメリカ合衆国やカナダの狩猟民や小規模な農民社会と違い,アステカ,マヤ,インカなどの文明地帯には,安定した農村社会と密集した人口があり,また金銀などの鉱物資源が早くから発見されたため,スペイン人の征服後,彼らの労働力徴発による生産体系が急速に成立した。…

※「メスティソ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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