メーザー(Justus Möser)(読み)めーざー(英語表記)Justus Möser

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

メーザー(Justus Möser)
めーざー
Justus Möser
(1720―1794)

ドイツの評論家、歴史家。法律学を学び、故国オスナブリュック司教領の検事、行政長官等の要職を歴任した政治家でもあった。若いころには合理主義哲学、啓蒙(けいもう)思想に親しんだが、政治実務について故国の実情を知るにつれ、経験的に個々の事物から得られる全体的印象を重んずるようになり、独自の伝統主義的、有機体的思想を抱くようになった。1763年イギリスに渡って強い印象を受け、その範に従って週刊新聞を発刊(1766)したが、それへの寄稿文を集めた『愛国的幻想』Patriotische Phantasien(1774~1786)では、農民、都市の伝統的法制度に深い愛着を込めた賞賛を呈して、絶対主義君主による改革を批判。その主著『オスナブリュック史』Osnabrückische Geschichte(1768~1824)は19世紀における歴史学の発達に強い刺激を与えた。保守主義、ロマン主義の先駆者という歴史的意義をもち、ヘルダーゲーテにも大きな影響を与えた。

[中村賢二郎 2015年4月17日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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