モルッカ[諸島](読み)モルッカ

百科事典マイペディア 「モルッカ[諸島]」の意味・わかりやすい解説

モルッカ[諸島]【モルッカ】

インドネシア東部,スラウェシと西イリアン西端との間に散在する諸島(インドネシアではマルクMaluku諸島と称する)。歴史的には香料諸島として知られる。ハルマヘラ,テルナテ,ティドール,ブルセラムアンボンなどが主要島。マルク州を形成し,州都アンボン島のアンボン。古代からニクズク,チョウジその他貴重な香料の産地で,ポルトガルとスペイン,オランダ,英国の争奪の的となった。1623年アンボン事件を経て全諸島がオランダ支配に入った。現在では香料貿易は衰え,代わってセラム島などで油田開発が進んでいる。7万7870km2。257万1593人(2010)。
→関連項目インドネシアトルデシーリャス条約バンダ海マレー[諸島]

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世界大百科事典 第2版 「モルッカ[諸島]」の意味・わかりやすい解説

モルッカ[諸島]【Moluccas】

インドネシア北東部,スラウェシ(セレベス)島とニューギニア島の間に散在する大小多数の島の総称インドネシア語ではマルクMaluku諸島と呼ぶ。古くから香料群島として知られ,ハルマヘラ,セラム,アンボン,テルナテ,ティドールなどの島を含む。行政的にはマルク州としてまとめられ,アンボン島のアンボンが州都である。面積8万3675km2,人口210万(1996)。構造的にはヒマラヤ造山帯環太平洋造山帯の会合点にあたり,地盤変動が激しく,大小の島々を生じ,また今も諸所に火山活動をみる。

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世界大百科事典内のモルッカ[諸島]の言及

【香料】より

…これに対しインド洋を中心に東西を結んだ海上のルートでは,17世紀前半以前の時代に熱帯アジア諸地域産の香料(スパイス)が中心となっていたから,スパイス・ルートということができよう。例えば16~17世紀のヨーロッパ人の東洋進出の目的は,インド,スマトラ,ジャワの胡椒,スリランカの肉桂(につけい),モルッカ諸島とバンダ諸島の丁子(ちようじ)(製品としての香料が丁香である),肉荳蔲(にくずく)であった。ことにインドネシアの最も奥地で,13世紀までテラ・インコグニタ(未知の地)であったモルッカ諸島は,丁香の唯一の原産地であったから,ヨーロッパ人の東漸の最大そして最終の目的地であった。…

【大航海時代】より

…一行は途中ブラジルを発見し,インドではイスラム商人の支援をうけたカリカット王と対立し,カリカットとは敵対関係にあったコーチン王と同盟を結び,コーチンに商館を開いて根拠地とした。 マヌエル王の方針は,一つはイスラム商人と対立しないような形でインドで貿易活動を行うことであり,もう一つはできる限り早くチョウジなどの産地であるモルッカ諸島に到達し,スペインに対して優先権を主張することであった。マヌエル王はまたインドにおけるポルトガル人の征服,貿易活動を統轄するために〈インド領〉を設置し,その初代副王としてフランシスコ・デ・アルメイダをインドに派遣した。…

【トルデシーリャス条約】より

…その結果,南アメリカの実体が明らかになるにつれて,ブラジルがポルトガルの管轄下に入ることになった。さらに,この条約は15世紀末のあいまいな地理知識にもとづいて作成されたので,のちに東洋とりわけモルッカ諸島の領有権が両国間で争われることになった。【染田 秀藤】。…

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