モンゴル語(読み)モンゴルゴ

デジタル大辞泉 「モンゴル語」の意味・読み・例文・類語

モンゴル‐ご【モンゴル語】

アルタイ諸語のうち、モンゴル民族によって話されている言語狭義のモンゴル語であるハルハ語モンゴル国公用語)のほか、チャハル語・カルムイク語ブリヤート語などを含む。蒙古語

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精選版 日本国語大辞典 「モンゴル語」の意味・読み・例文・類語

モンゴル‐ご【モンゴル語】

  1. 〘 名詞 〙 モンゴル族によって話される諸言語の総称。モンゴル語族を形成する。蒙古語ともいう。狭義の蒙古語(モンゴル国、中国の内モンゴル自治区)、オイラート語(モンゴル国北西部、中国新疆ウイグル自治区北部、甘粛省・青海省)、ブリヤート語(バイカル湖周辺)、ダグール語(中国東北地区北部)、モングォル語(甘粛省・青海省)、モゴール語アフガニスタン)の諸方言に分かれる。中国では伝統的な縦書きモンゴル文字が使用され、モンゴル国ではキリル文字からモンゴル文字への移行が進んでいる。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「モンゴル語」の解説

モンゴル語(モンゴルご)

モンゴル民族の使用する言語。北部方言(ブリャート諸方言),中部方言(ハルハチャハルオルドス諸方言),東部方言(ホルチン,ハラチン諸方言),西部方言(オイラト諸方言)に大別される。語幹の変化は少なく,語幹に接尾辞を付することで単語が形成される膠着(こうちゃく)語的言語。母音は「男性母音」「女性母音」「中性母音」に分かれ,男性母音と女性母音が同一単語中に現れることはない(母音調和)。文字はキリル文字(モンゴル国ブリャーチア共和国,カルムィク・タングチ共和国),ウイグル式モンゴル文字(内モンゴル),トド文字(新疆(しんきょう)ウイグル自治区のモンゴル族)が使用されている。また13世紀にパクパ文字,17世紀にソヨンボ文字などが用いられた。

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世界の主要言語がわかる事典 「モンゴル語」の解説

モンゴルご【モンゴル語】

広義にはモンゴル系民族(モンゴル族)が使用してきた諸言語(モンゴル諸語)をさし、狭義にはモンゴル国および中国の内モンゴル自治区で話される言語をさす。モンゴル諸語は、大きくは東部方言(狭義のモンゴル語)、西部方言(ロシアで話されるカルムイク語、ブリヤート語など)、その他中国の辺境地帯などに点在する諸言語の3つに分けられる。歴史的には多くがモンゴル文字で書かれた13世紀以来の文献で知られる。文字は、カルムイク語、ブリヤート語、およびモンゴル国のモンゴル語で20世紀前半からキリル文字が採用されたが、モンゴル国では1990年代からモンゴル文字が復活した。言語的には膠着語に属し、日本語と文法的な構造がよく似ている。モンゴル諸語はチュルク諸語ツングース諸語とともに、共通の祖語をもつアルタイ諸語を構成するとし、この系統にさらに朝鮮語や日本語を位置づける説もあるが、いずれも定説ではない。◇蒙古語ともいう。英語でMongolian。

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改訂新版 世界大百科事典 「モンゴル語」の意味・わかりやすい解説

モンゴル語 (モンゴルご)
Mongolian

狭義では,現在モンゴル国で話される言語を指すことが多いが,内モンゴル自治区のモンゴル人の言語も含まれることもある。また,広くモンゴル民族の用いるモンゴル系の言語全般(すなわちモンゴル諸語)を漠然と〈モンゴル語〉と呼ぶ場合もしばしばあり,この意味では,旧来の〈蒙古語〉という語の用いられ方と同義といえる。モンゴル語は言語としてはアルタイ系の言語(アルタイ諸語)に属し,その構文法などは,日本語に酷似し,日本語の系統を考える際に重要な言語である。
モンゴル諸語
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旺文社世界史事典 三訂版 「モンゴル語」の解説

モンゴル語
モンゴルご

モンゴル人の使う言語
トルコ語などとともにアルタイ語族に属する。東は内モンゴルから西はヴォルガ川に,北はバイカル湖から南はアフガニスタンへの広大な地域にわたるため,多くの方言に分かれる。モンゴル革命(1921)以後,ソ連領ブリヤート自治共和国やモンゴル人民共和国では,従来のウイグル式モンゴル文字を廃止してロシア文字を使用した。1992年,モンゴル人民共和国が社会主義を放棄してモンゴル国と改称したのち,ウイグル式モンゴル文字の復活が宣言された。

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世界大百科事典(旧版)内のモンゴル語の言及

【モンゴル諸語】より

…シベリアの南,中華人民共和国の北にひろがる広大なステップ性高原地帯モンゴル高原には,現在,モンゴル系の多くの言語が話されている。それらの言語をモンゴル諸語と呼ぶ。なお,かつては〈蒙古諸語〉あるいは単に〈蒙古語〉という呼び方もしばしば用いられた。また現在,〈モンゴル語〉という呼名が〈モンゴル諸語〉の意味で用いられる場合もあるが,こちらは狭義にはモンゴル国で話される言語を指す。
[下位区分]
 モンゴル諸語は多くの方言に分かれるが,巨視的にみれば,東部方言と西部方言の二つに分けられ,その他,孤立した若干の言語を認めることができる。…

【ハルハ語】より

…モンゴル語を代表する言語の一つ。モンゴル国の公用語で,同国全域で通行するほか,内モンゴルの全域,また,カルムイク共和国,ブリヤート共和国のモンゴル人にも理解されるので,ハルハ語(あるいはハルハ方言)は,いわば,モンゴル族の共通語的な役割を果たしているということができる。…

【蒙古語】より

…従来,広い意味では,モンゴル民族が過去から現在まで使用し続けている言語一般を指し,ハルハ蒙古語,ブリヤート蒙古語,ダフール蒙古語,あるいは蒙古文語などをも含めた場合にも用いられた。しかし,最近では,〈モンゴル語(モンゴル諸語)〉という語が〈蒙古語(蒙古諸語)〉にとって代わりつつあり,とくに,モンゴル国で用いられている言語は〈モンゴル語〉と呼ばれる傾向が強まっている。そしてそのような用語上の変化を前提にして,〈蒙古語〉という呼び方が〈蒙古文語〉の意味に用いられるようにもなっている。…

【モンゴル諸語】より

…なお,かつては〈蒙古諸語〉あるいは単に〈蒙古語〉という呼び方もしばしば用いられた。また現在,〈モンゴル語〉という呼名が〈モンゴル諸語〉の意味で用いられる場合もあるが,こちらは狭義にはモンゴル国で話される言語を指す。
[下位区分]
 モンゴル諸語は多くの方言に分かれるが,巨視的にみれば,東部方言と西部方言の二つに分けられ,その他,孤立した若干の言語を認めることができる。…

※「モンゴル語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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