ヨウ化水素酸(読み)ヨウカスイソサン

化学辞典 第2版 「ヨウ化水素酸」の解説

ヨウ化水素酸
ヨウカスイソサン
hydroiodic acid

ヨウ化水素水溶液をいう.10 ℃ で100 g の水に238 g のヨウ化水素が溶解する.57% の水溶液(密度1.7 g cm-3)は共沸混合物で最高沸点127 ℃ を示す.無色透明で強い酸性を示し,塩化水素酸,臭化水素酸より強い酸である.酸素が共存すると分解してヨウ素を遊離し,黄色ないし褐色に着色し,とくに光によって分解は促進される.多くの酸化剤によって酸化されてヨウ素を生じ,さらに反応が進むとヨウ素酸HIO3を生じる.多くの金属を溶解して水素とヨウ化物を生じ,また金属の酸化物,水酸化物を溶解してヨウ化物を生じる.有機化合物に対して還元剤としてはたらく.ヨウ素化合物の製造,還元剤,医薬原料,エッチング剤,分析試薬などに用いられる.皮膚,粘膜をおかす.有毒.[CAS 10034-85-2:HI]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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