ヨーロッパの労働組合の中央連合組織。略称ETUC。日本では欧州労働組合連合ともいう。1958年国際自由労連(ICFTU)のヨーロッパ労組書記局として成立。その後1969年に一度名称を変更し、1973年2月に現在の名前の下に再結成。翌1974年にキリスト教系の国際労働組合連合(WCL)加盟組織などを加え、1975年には世界労働組合連盟(WFTU)準加盟のイタリア労働総同盟(CGIL)の加入も認めた。その後、ETUCは門戸を広げ、共産党系組織であるスペイン労働者委員会(1990年加盟)、フランス労働総同盟(CGT。1999年加盟)や、ホワイトカラーや職能組合組織などの加盟を認めた。さらに、1996年からは、中・東欧諸国の組合組織の加盟も認めた。ヨーロッパ統合に対応して、ヨーロッパレベルでの労使関係制度確立を目標としている。2010年の時点で、36か国82組織とヨーロッパ産業別12組織が加盟している。
[五十嵐仁・鈴木 玲]
『法政大学大原社会問題研究所編『日本労働年鑑 第69集』(1999・旬報社)』▽『Bernard Ebbinyhaus & Jelle VisserThe Societies of Europe ; Trade Unions in Western Europe Since 1945(2000, Grove's Dictionaries, Inc., New York)』
ヨーロッパ労働組合連盟European Trade Union Confederation(ETUC)の略称。1973年に結成された西ヨーロッパの全国的労働組合の総連合体。本部をブリュッセルの国際自由労連(ICFTU)の本部建物内におく。その前身は,1958年のヨーロッパ経済共同体(EEC)の結成の際,関係6ヵ国のICFTU加盟組合が設けたヨーロッパ労働組合事務局European Trade Union Secretariat(ETUS)である。69年にはETUSはヨーロッパ自由貿易連合(EFTA)諸国の労働組合とともにヨーロッパ労働組合連盟European Confederation of Trade Unions(ECTU)を結成し(同時にICFTUヨーロッパ地域組織を解体),折からの東西対立の雪解けとアメリカのAFL-CIOのICFTU脱退(1969。復帰は82年)の好機に乗じて,73年にETUCの結成が実現した。加盟団体には国際労連(WCL)系の全国組合もあり,74年にはイタリア労働総同盟(CGIL)の加盟も許された。こうして労働戦線の統一は西ヨーロッパのレベルでは実現していることになる。
執筆者:高橋 武
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
… 組織化の点では,国際自由労連は共産圏を除く世界の広範な地域に加盟団体をもつ(1996年の第16回大会報告では,加盟団体136ヵ国・地域,196組合,組合員1億2720万人)。地域別には,APRO(アジア太平洋地域組織),ORIT(汎米地域組織),AFRO(アフリカ地域組織),ETUC(ヨーロッパ労連,ただし独立組織)が独自の活動を行う。また産業別組織との関係では,国際自由労連は13のITSと〈同一の国際労働組合運動の陣営に属する〉とされる。…
※「ヨーロッパ労連」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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