ラジオゾンデ(読み)らじおぞんで(英語表記)radiosonde

翻訳|radiosonde

デジタル大辞泉 「ラジオゾンデ」の意味・読み・例文・類語

ラジオゾンデ(〈ドイツ〉Radiosonde)

気球に取り付け、高層大気気温湿度気圧などを測定し、測定値を無線で地上に送信する装置。

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精選版 日本国語大辞典 「ラジオゾンデ」の意味・読み・例文・類語

ラジオ‐ゾンデ

  1. 〘 名詞 〙 ( [ドイツ語] Radiosonde ) 気球にとりつけて飛ばし大気高層の気象状態などを自動的に観測する装置。大気の気圧・気温・湿度・紫外線宇宙線などの観測値が電波で自動的に地上に送られてくる。ゾンデ。〔雪(1938)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「ラジオゾンデ」の意味・わかりやすい解説

ラジオゾンデ
radiosonde

気球に吊り下げて飛揚し高層大気の気圧,気温,湿度などを測定する気象器械。一般に使用されているものは,小型軽量の気圧計,温度計,湿度計を組み合わせた気象計と小型無線送信器からできている。1981年3月1日以降,気象庁で用いられているラジオゾンデRS-80型では,気象計として,接点抵抗式空ごう(盒)気圧計,サーミスター温度計,カーボン湿度計を用いている。気圧,気温,湿度の変化により,各センサーの電気抵抗が変わり,搬送波を変調させる方式をとっている。飛揚するにあたっては各センサーなどの点検を行い,600gの気球に水素を充てんして浮力を与えたあと,落下事故防止用パラシュートとともにゾンデを気球につないで放球する。ゾンデ気球はほぼ400m/minの速度で上昇し,20~30kmの高度に達して破裂する。さてゾンデからの電波(1680MHz)は地上に設置された方向探知機で受信し,復調して信号を取り出す。

 以上のほか種々の特殊ゾンデが,1950年代後半,国際地球観測年(IGY)を契機に開発され使用されている。すなわち,大気中の湿度(水蒸気量)を高所で低温・微量でも精度高く測定するための露点ゾンデ,空気の電導度を測る気象電気ゾンデ,大気放射を測定する輻射ゾンデなどである。オゾンとヨードカリ溶液との反応電流を測ることによってオゾン量を測定するオゾンゾンデは,茨城県つくば市にある高層気象台などで定期的に飛揚し,オゾンの鉛直分布を測定している。ラジオゾンデによる高層観測は,日本では18ヵ所の気象官署で,9時と21時の1日2回実施している(3時と15時にはレーウィンによる高層風観測も行っている)。なお,高層観測は世界の国ぐにが協力して行っており,毎日の数値予報などを出すための重要な入力となっている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラジオゾンデ」の意味・わかりやすい解説

ラジオゾンデ
らじおぞんで
radiosonde

小型の無線発信機を使った高層気象観測装置。これを、水素あるいはヘリウムガスを入れた気球につり下げて飛揚する。1928年に旧ソ連のモルチャノフP. A. Molchanovその他によって、初めて考案された。普通は気圧、気温、湿度の三要素を測定するが、低温での湿度観測を目的とした露点ゾンデ、大気の電気伝導度を測る電気ゾンデ、放射収支測定用のゾンデなどもある。高さ2キロメートルくらいまでの観測には低層ゾンデが使用される。500メートル程度までならカイトゾンデkitesondeも有効であって、測定装置を繰り返し使用できる利点がある。パラシュートをつけて飛行機などから投下し、地面までの観測を行うのはドロップゾンデdropsondeとよばれる。現在日本で使用されている普通のラジオゾンデは80型(1980年製作開始)と名づけられ、1680メガヘルツの電波に観測データ変調信号をのせる。アネロイド気圧計、サーミスタ温度計、カーボン湿度計で三要素を測定する。白く塗装したサーミスタ温度計は、発振部などの収容箱から外方に出した枠に取り付ける。1800ヘルツの基準信号と3種の測定データ信号が、3秒置きに順次切り換えて発信される。地上観測点で受信結果を処理して観測データを算定する方式は、近年、各国で自動化が採用されつつある。80型も、コンピュータ処理による自動化を目ざしたものである。

[篠原武次]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラジオゾンデ」の意味・わかりやすい解説

ラジオゾンデ
radiosonde

上空の大気の状態(気圧,気温,湿度,風向,風速などの気象要素)を自動的に測定するセンサを搭載し,測定した情報を送信するための無線送信機を備えた気象観測器具。温度計と湿度計はラジオゾンデから突き出たアームに取り付けられており,気圧計や無線送信機,電池などはラジオゾンデの本体内部にある。水素ガスなどを詰めたゴム気球につるして飛揚させ,1分間に 300~400mの速度で上昇させながら,地上から高度約 30kmまでの大気の状態を観測する。観測終了後はパラシュートで地上に降下する。観測の対象,方法により,レーウィンゾンデ,GPSゾンデ(→全地球測位システム),オゾンゾンデなどの種類に分けられる。レーウィンゾンデは,気圧計,温度計,湿度計と無線送信機で構成され,レーウィンゾンデからの信号を地上のパラボラアンテナで追跡し,受信することにより,気圧,気温,湿度,風向,風速を測定する。GPSゾンデは,温度計,湿度計,GPS受信機,無線送信機で構成され,地上で GPSゾンデからの信号と GPS衛星からの信号を受信・処理することで気圧,気温,湿度,風向,風速を測定する。オゾンゾンデはレーウィンゾンデまたは GPSゾンデとオゾンを測定する観測測器で構成され,気圧,気温,湿度,風向,風速,オゾン量を測定する。

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百科事典マイペディア 「ラジオゾンデ」の意味・わかりやすい解説

ラジオゾンデ

気球に各種の気象測器と小型無線発信器をのせ,上空に放って大気高層の各種気象要素(ふつうは気温,湿度,気圧など)の測定値を地上の観測所に送信するものの総称。回収はしない。ふつうはゴム製気球にヘリウムを充填(じゅうてん)し,上昇速度毎分300〜400m,到達高度20〜30km。特に高高度の観測にはポリエチレン製の大型気球を用いる。送信電波にはふつう超短波を用い,無線方向探知機で到来方向を探知して上層風の測定に役立てる。日本では測器の指針の位置をモールス符号化した信号方式を使用。1940年代から世界の高層気象観測網で実用化され,大気の三次元的構造および時間的変化を毎日知るのに役立っている。
→関連項目気象観測高層天気図レーウィン

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知恵蔵 「ラジオゾンデ」の解説

ラジオゾンデ

小型気球に気象観測器と無線送信機を取り付けて飛揚させ、上空約30kmまでの気圧、気温、湿度、風向・風速を測定する気象器械。レーウィンゾンデともいう。1927年にフランスで実験が開始され、38年から日本で定常観測を開始。全国18カ所で1日2回観測している。

(饒村曜 和歌山気象台長 / 宮澤清治 NHK放送用語委員会専門委員 / 2007年)

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