翻訳|radiosonde
気球に吊り下げて飛揚し高層大気の気圧,気温,湿度などを測定する気象器械。一般に使用されているものは,小型軽量の気圧計,温度計,湿度計を組み合わせた気象計と小型無線送信器からできている。1981年3月1日以降,気象庁で用いられているラジオゾンデRS-80型では,気象計として,接点抵抗式空ごう(盒)気圧計,サーミスター温度計,カーボン湿度計を用いている。気圧,気温,湿度の変化により,各センサーの電気抵抗が変わり,搬送波を変調させる方式をとっている。飛揚するにあたっては各センサーなどの点検を行い,600gの気球に水素を充てんして浮力を与えたあと,落下事故防止用パラシュートとともにゾンデを気球につないで放球する。ゾンデ気球はほぼ400m/minの速度で上昇し,20~30kmの高度に達して破裂する。さてゾンデからの電波(1680MHz)は地上に設置された方向探知機で受信し,復調して信号を取り出す。
以上のほか種々の特殊ゾンデが,1950年代後半,国際地球観測年(IGY)を契機に開発され使用されている。すなわち,大気中の湿度(水蒸気量)を高所で低温・微量でも精度高く測定するための露点ゾンデ,空気の電導度を測る気象電気ゾンデ,大気放射を測定する輻射ゾンデなどである。オゾンとヨードカリ溶液との反応電流を測ることによってオゾン量を測定するオゾンゾンデは,茨城県つくば市にある高層気象台などで定期的に飛揚し,オゾンの鉛直分布を測定している。ラジオゾンデによる高層観測は,日本では18ヵ所の気象官署で,9時と21時の1日2回実施している(3時と15時にはレーウィンによる高層風観測も行っている)。なお,高層観測は世界の国ぐにが協力して行っており,毎日の数値予報などを出すための重要な入力となっている。
執筆者:竹内 清秀
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小型の無線発信機を使った高層気象観測装置。これを、水素あるいはヘリウムガスを入れた気球につり下げて飛揚する。1928年に旧ソ連のモルチャノフP. A. Molchanovその他によって、初めて考案された。普通は気圧、気温、湿度の三要素を測定するが、低温での湿度観測を目的とした露点ゾンデ、大気の電気伝導度を測る電気ゾンデ、放射収支測定用のゾンデなどもある。高さ2キロメートルくらいまでの観測には低層ゾンデが使用される。500メートル程度までならカイトゾンデkitesondeも有効であって、測定装置を繰り返し使用できる利点がある。パラシュートをつけて飛行機などから投下し、地面までの観測を行うのはドロップゾンデdropsondeとよばれる。現在日本で使用されている普通のラジオゾンデは80型(1980年製作開始)と名づけられ、1680メガヘルツの電波に観測データ変調信号をのせる。アネロイド気圧計、サーミスタ温度計、カーボン湿度計で三要素を測定する。白く塗装したサーミスタ温度計は、発振部などの収容箱から外方に出した枠に取り付ける。1800ヘルツの基準信号と3種の測定データ信号が、3秒置きに順次切り換えて発信される。地上観測点で受信結果を処理して観測データを算定する方式は、近年、各国で自動化が採用されつつある。80型も、コンピュータ処理による自動化を目ざしたものである。
[篠原武次]
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(饒村曜 和歌山気象台長 / 宮澤清治 NHK放送用語委員会専門委員 / 2007年)
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