改訂新版 世界大百科事典 「リッチャビ」の意味・わかりやすい解説
リッチャビ
Licchavi
古代北インドの部族。その国家は〈十六大国〉の一つに数えられるバッジ。首都はバイシャーリー(ベーサーリー)。部族共和制(サンガ)を採用し,国家の最高機関である部族集会にはラージャ(王族)と称する7707人が参加したという。同じ共和制の諸国を糾合したブリジVṛjji(バッジVajji)同盟の盟主の地位にあり,しばしばブリジ族と同一視される。釈迦はリッチャビ族の国家が強力である理由として,団結と伝統尊重など7項目をあげたという。マガダ国のアジャータシャトル王は,策謀を用いてリッチャビ族の団結を内部から崩したのち,前5世紀初めにこの国を攻め滅ぼした。リッチャビ族はそれ以後もクシャトリヤ部族として残存したようである。グプタ朝初代王のチャンドラグプタ1世は,名門リッチャビ族から妃を迎えたことを誇っている。
執筆者:山崎 元一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報