リンガ・フランカ

大学事典 「リンガ・フランカ」の解説

リンガ・フランカ

ラテン語で「フランク族言語」ないし「勇猛な/自由な/槍を投げる」人々という意味ともいわれる。歴史的にはいわゆる民族大移動時代(3~5世紀)のフランク族の言語を指すのではなく,15世紀から19世紀にかけて,地中海で用いられたラテン系諸言語とアラビア語の混じった商用混合言語(ピジン)を意味する。とはいえ現在では,その派生的意味合いとして,諸民族にまたがる共用語/共通語として用いられる。たとえば,13~15世紀のスコラ学から人文主義の時代,ラテン語を共通語とする文人共和国は,大学におけるリンガフランカの初期の事例といえる。17世紀末以降,19世紀にかけてはフランス語が欧州の外交言語だったが,大学の共通言語だったとはいえない。少なくとも書き言葉学術用語としては,19世紀半ばに至るまで,ラテン語が欧州における大学の共通語であった。いわゆる漢字文化圏における中国語も欧州におけるラテン語と同様の位置にあったが,東アジアにおける近代の大学ではそうした意味をもたなかった。第2次世界大戦後,英語が外交語として世界の共通語になり,大学においてもしだいにかつてのラテン語の位置を占めつつある。
著者: 原 聖

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

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