第二次世界大戦後のイギリスを代表する映画監督。ロンドン南郊クロイドンに生まれる。20歳で映画界入りし、フィルム編集の仕事を経て1942年監督となる。ノエル・カワードの戯曲による『幸福なる種族』(1942)と『陽気な幽霊』(1945)、そして妻子ある医師と人妻の短い恋を描く『逢(あい)びき』(1945)で名声を博し、その後もディケンズの映画化『大いなる遺産』(1946)や『オリヴァ・ツイスト』(1948)など、イギリス映画らしいじみな秀作を数々発表。『旅情』(1955)でベネチアを舞台にアメリカのオールドミスの恋をロマンチックに描いたあと、『戦場にかける橋』(1957)、『アラビアのロレンス』(1962)、『ドクトル・ジバゴ』(1965)と国際的な大作に転じ、スペクタクルを絡めたスケールの大きな人間ドラマを展開して、世界的巨匠の地位についた。1957年度、1962年度のアカデミー賞の作品賞と監督賞を受賞。その後の作品に『ライアンの娘』(1970)、『インドへの道』(1984)がある。
[宮本高晴]
軍旗の下に In Which We Serve(1942)
幸福なる種族 This Happy Breed(1942)
陽気な幽霊 Blithe Spirit(1945)
逢びき Brief Encounter(1945)
大いなる遺産 Great Expectations(1946)
オリヴァ・ツイスト Oliver Twist(1948)
情熱の友 The Passionate Friends(1949)
マデリーン 愛の旅路 Madeleine(1950)
超音ジェット機 The Sound Barrier(1952)
ホブスンの婿選び Hobson's Choice(1954)
旅情 Summertime(1955)
戦場にかける橋 The Bridge on the River Kwai(1957)
アラビアのロレンス Lawrence of Arabia(1962)
ドクトル・ジバゴ Doctor Zhivago(1965)
ライアンの娘 Ryan's Daughter(1970)
インドへの道 A Passage to India(1984)
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…1946年製作。劇作家ノエル・カワードが自作の一幕物《静物画》(1936)をみずから脚色し,すでに彼の原作による《幸福なる種族》(1944),《陽気な幽霊》(1945)を撮った新鋭監督デビッド・リーンが映画化した作品。ロッセリーニの《無防備都市》(1946)やルネ・クレマンの《鉄路の闘い》(1946)など,戦火の跡もなまなましい現実を描いた当時のリアリズム映画とは対照的に,古めかしい愛の物語を激情を抑えたイギリス的な〈控えめ〉な語り口で描き,リーンは戦後イギリス映画を代表する監督の一人となった。…
…イギリスには,映画の前史を形成したもっとも重要な人々が存在した。18世紀後半に〈パノラマ〉を考案したR.バーカー,19世紀前半に〈ファラデーの車輪〉と呼ばれる装置を発案したM.ファラデー,〈ソーマトロープ〉を考案したフィットンとパリス,〈ゾーエトロープ〉を考案したW.G.ホーナー,19世紀後半には初めて〈連続写真〉の撮影を行ったE.マイブリッジ,映画用カメラを初めて作ったW.フリーズ・グリーン等々。次いで1896年3月に《ドーバーの荒海》と題した自作のフィルムのイギリスでは初めての興行上映を行ったR.W.ポール,1900年前後にいち早くクローズアップやカット・バックといった映画的手法や,ロケーション撮影や書割を背景に用いたセット撮影を駆使して世界最初の〈モンタージュ〉を試みたG.A.スミスをはじめ,J.ウィリアムソン,C.アーバン,C.ヘプワースら,映画史家G.サドゥールによって〈ブライトン派〉と名づけられた映画のパイオニアたちが輩出した。…
…アメリカの資本と監督デビッド・リーン,主演アレク・ギネスをはじめとするイギリス人のスタッフによってイギリスでつくられたアメリカ映画。1957年製作。…
※「リーン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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少子化とは、出生率の低下に伴って、将来の人口が長期的に減少する現象をさす。日本の出生率は、第二次世界大戦後、継続的に低下し、すでに先進国のうちでも低い水準となっている。出生率の低下は、直接には人々の意...
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