レトリック
〘名〙 (rhetoric)
※明六雑誌‐二五号(1874)知説・五〈
西周〉「爰に文と云ふは概して言語文辞の
学術を挙る者にして〈略〉
其一をグレマル(
語学)と云ひ其二をレトリック(
文学)と云ふ」
② ことばを巧みに用いて美しく効果的に表現すること。また、その
技術。
修辞。
※野村伝四宛夏目漱石書簡‐明治三八年(1905)六月二七日「レトリック許りだと思って居るかも知れん」
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デジタル大辞泉
「レトリック」の意味・読み・例文・類語
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レトリック
本来は古代のギリシア語レトリケに由来し,弁論の技術とその体系をさした。1.発想(主題の問題点を探し出すこと),2.配置(1.をどのように順序立てるか),3.修辞(1.2.をいかに効果的に表現するか),4.記憶(口頭弁論のための暗記),5.発表(発声,身振りなどの技術)の部門に分かれて体系化された。これらは中世ヨーロッパに受け継がれ,言わんとすることを明確かつ適切に美しく表現し,文にふさわしい構成を与える言語・文章技術として発展した。書きことばが普及するルネサンス以降,とくに1〜3の部門のみからなる狭義の〈修辞学〉となり,とくに3.に重点がおかれ,技巧が凝らされた。しかし近代の実証主義的学問潮流のなかでは無用の学問とされ,文法論に吸収された。しばしば否定的に〈文飾の技巧〉としても使われる。日本ではとくに韻文において,枕詞(まくらことば),対句,懸詞(かけことば),縁語,序詞などの技法が発達している。
→関連項目クインティリアヌス|比喩|文体論
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レトリック【rhetoric】
本来の意味でのレトリックとは,古代ギリシアに始まり,19世紀後半まで2000年以上,絶えることなくヨーロッパに継承されてきた〈効果的な言語表現の技術〉であった。もともとは文法学,論理学(弁証術)などと並ぶ重要な基礎教養のひとつの科目であったが,その伝統的な技術学としての形態が消滅した現代では,この用語は,言語表現の(しばしば悪い意味での)技巧や効果をあいまいにする非専門的なことばとしても用いられることが多い(たとえば,〈それは単なるレトリックにすぎない……〉などということばづかいとして)。
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