ローウェル(Amy Lowell)(読み)ろーうぇる(英語表記)Amy Lowell

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ローウェル(Amy Lowell)
ろーうぇる
Amy Lowell
(1874―1925)

アメリカの女流詩人。マサチューセッツ州名門の出身で、同じ家系にはジェームズ・ラッセル・ローウェル、ロバート・ローウェルの二詩人がいる。1913年に「イマジズム」の文学運動に参加し、エズラ・パウンドの後を襲って主導的役割を担う。日本の俳句の影響を受けた、イメージ中心の詩の運動そのものは、彼女の名をもじって「エイミジズム」などとよばれて短命に終わったが、イマジズムがその後のアメリカ詩に与えた影響は深く長い。エイミー自身は詩集『剣の刃とケシの種』(1914)で、この運動の成果を実らせている。その後は「鍵(かぎ)としての大砲――大扉が開く」のように、日本開港を扱った叙述的要素の強い作品にも手を染めた。こうした作品は二つの文化の出会いという点で興味深いが、その後のアメリカ詩の発展のなかで、彼女は不当に冷遇されているといえるかもしれない。

[徳永暢三]

『上田保訳『剣の刃とケシの種(抄)』(『世界名詩集大成11』所収・1959・平凡社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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