普及版 字通 「一」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 1画

(異体字)弌
4画

[字音] イツ・イチ
[字訓] ひとつ・はじめ・もっぱら

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 指事
画一。記号的表示。算木をならべる計算法。卜文・金文では四までは横画を重ね、五は×、十はで示す。弌は貳(弐)より派生。貳は鼎銘を戈で削り、盟約に貳(たが)う意。その字形を一に適用した。〔説文〕一上に「惟(こ)れ初め太始、は一に立つ。天地をし、物をす」とし、古文一字を収める。一・二・三を発生論的に解する思考法は、〔老子〕によるものであろう。古文の字形は卜文・金文にみえず、ただ〔鼎(こつてい)〕に「貳(たが)ふ」の字があり、鼎に戈を加えて銘文を削り改める意であろう。のち略して弍に作り、一にも弌の形が作られた。〔古文尚書、文侯之命〕にその字がみえる。

[訓義]
1. 数の一、ひとつ、ひとり、ひとたび。
2. 一よりはじめるので、はじめ。
3. 最小の数であるから、すこし、わずか。
4. 一にまとめるので、すべて、みな、もっぱらの意となる。

[古辞書の訓]
名義抄〕一 ヒトツ・ヒトリ・トモシ・チヒサシ・モハラ・キハム・オナシ・トモ/一心 ココロヲモハラニス/一二 ツバヒラカニ

[語系]
一・壹(壱)ietは同声。壹は壺中にあるものが醸して、その気がなかに充つる意。その充したものを一という。鬱・iut、iunなども同系の語である。

[熟語]
一握一意・一・一雨・一詠・一臥・一概・一行一隅・一芸・一言・一元一座・一字・一時・一次・一縄・一場一陣・一朶・一代・一諾・一段・一道・一二一念・一臂・一別・一望・一眸・一味・一脈一命・一面・一沐一門・一躍・一遊一陽一様・一覧一理・一律・一粒・一流・一領・一縷・一類・一例・一列・一聯・一臠・一路・一老・一弄・一楼・一・一・一个・一架・一箇・一介・一覚一喝・一竿・一簡・一貫・一気・一奇一紀一揆・一簣一期・一掬・一去・一挙・一曲・一局・一計・一顧・一刻・一再・一切一策・一拶・一粲・一盞・一・一死一枝・一是・一瀉・一終・一宿・一瞬・一将・一心・一新・一酔・一斉・一隻・一洗・一掃・一双・一束・一尊・一旦・一・一致・一籌・一朝・一対・一・一天・一転・一途一統一派・一杯・一髪・一般・一斑・一筆・一夫・一封・一幅・一碧・一偏・一遍・一抔
[下接語]
画一・帰一・貴一・均一・合一・混一・執一・什一・純一・随一・斉一・精一・専一・太一・第一・択一・単一・逐一・貞一・統一・同一・得一・寧一・不一・抱一・万一・唯一・理一

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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