一上一下(読み)イチジョウイチゲ

デジタル大辞泉 「一上一下」の意味・読み・例文・類語

いちじょう‐いちげ〔イチジヤウ‐〕【一上一下】

《上から切りおろし、下から切り払う意から》
上がったり下がったりすること。
肉叉フオーク食刀ナイフ十文字に構えたが、おさを投げるように左右の―するのを」〈紅葉多情多恨
刀をとって、激しく打ち合うこと。
太刀をひらめかしてやがて野崎に馳向はせむかい―と斫結きりむすべる」〈染崎延房・近世紀聞〉
[類語]ちゃんちゃんばらばらちゃんばら切り合い切り合う剣劇殺陣たて立ち回り

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精選版 日本国語大辞典 「一上一下」の意味・読み・例文・類語

いちじょう‐いちげイチジャウ‥【一上一下】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「と」を伴って副詞的にも用いる )
  2. あるいは上がり、あるいは下がること。また、上げたり下げたりすること。
    1. [初出の実例]「車体は一上一下(イチジャウイチゲ)と動揺して」(出典:義血侠血(1894)〈泉鏡花〉一)
    2. [その他の文献]〔呂氏春秋‐季春紀・圜道〕
  3. 刀を上から打ちおろし、下に打ち払うこと。刀で激しく打ち合うこと。
    1. [初出の実例]「鋭(とき)大刀風に撃(うつ)発石(はっし)と受留て、払へば透さず数刀尖(こむきっさき)を拄(ささえ)て流す一上一下(イチゼウイチゲ)」(出典:読本・南総里見八犬伝(1814‐42)四)
  4. その瞬間瞬間の場面に応じて適切に対処すること。あれこれかけひきをすること。臨機応変。
    1. [初出の実例]「或は風流に或は武骨に、一上一下(イチジャウイチゲ)虚々実々」(出典:内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉一〇)

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四字熟語を知る辞典 「一上一下」の解説

一上一下

あるいは上がり、あるいは下がること。また、上げたり下げたりすること。転じて、その時々の場面に応じて適切に対処すること。あれこれかけひきをすること。

[活用] ―と・―する。

[使用例] 車体は一上一下と動揺して[泉鏡花*義血侠血|1894]

[使用例] それ知られては行くも憂し行かぬも憂しとはらうちは一上一下虚々実々[斎藤緑雨かくれんぼ|1891]

[解説] かけひきをする意で用いる場合は、多く「一上一下虚虚実実」の形となります。

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