一家(読み)イッカ

デジタル大辞泉 「一家」の意味・読み・例文・類語

いっ‐か【一家】

一つの所帯。一つの家族。「結婚して一家を構える」「一家の柱」
家族全体。家じゅう。「一家をあげて移住する」
学芸技術などの一つの流派。また、独自の権威を認められた存在。「歌道一家を立てる」
博徒など、親分子分関係で結ばれた集まり。「国定くにさだ一家
[類語]家族家庭ホームマイホーム所帯世帯家内我が家スイートホームファミリーお宅おいえおうち貴家

いっ‐け【一家】

一軒の家。いっか。
家族全体。一家族。いっか。
「―四人のものがふだんのように膳に向かって」〈鴎外阿部一族
同じ家系の者全体。または、それに家来や雇い人をも含めた全体。同族。同門。一族。一門。
「親しき―の一類はらから集めて」〈宇治拾遺・一三〉

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精選版 日本国語大辞典 「一家」の意味・読み・例文・類語

いっ‐か【一家】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 一つの家。一軒。いっけ。
    1. [初出の実例]「一家有薬、一里無病」(出典:延喜式(927)三七)
    2. [その他の文献]〔淮南子‐説林訓〕
  3. 一家族。一門。また、家族全体、一門すべて。いっけ。
    1. [初出の実例]「万里青雲双脚下、一家栄耀孔懐中」(出典:本朝麗藻(1010か)下・感勘解藤相公賢郎茂才蒙課試之綸旨聊呈鄙懐〈源孝道〉)
    2. 「吉田屋の一家袖をぞぬらしける」(出典:浄瑠璃・夕霧阿波鳴渡(1712頃)上)
    3. [その他の文献]〔礼記‐礼運〕
  4. 学問、芸術、技術などの独立した一流派。独自の一派。また、一方の権威。独自の存在。独特の一つの風格を持つもの。
    1. [初出の実例]「左丘明が文章でこそあれ、司馬遷が一家の事ではあらばやぢやほどに」(出典:史記抄(1476‐80)一〇)
    2. [その他の文献]〔晉書‐荀崧伝〕
  5. ばくちうちなどの親分と、その杯を受けた子分とでつくる特殊な団体。

いっ‐け【一家】

  1. 〘 名詞 〙
  2. いっか(一家)
    1. [初出の実例]「モロモロノヂシポロ イッケニアツマリ イラレケルニ」(出典:バレト写本(1591))
  3. いっか(一家)
    1. [初出の実例]「カノ キヨモリ ノ go(ゴ) icqe(イッケ) ノ ヒトビト ト サエ イエバ」(出典:天草本平家(1592)一・一)
    2. 「義康一家(イッケ)の好(よしみ)を忘れず」(出典:読本・椿説弓張月(1807‐11)後)
  4. その家に住んでいる者。また、その家にあるもののすべて。家中。一家中。
    1. [初出の実例]「ycqeno(イッケノ) ザイホウヲ コトゴトク マイナイニ シンジョウズ」(出典:天草本伊曾保(1593)イソポの生涯の事)

ひとつ‐や【一家】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 人里はなれた山野などにぽつんと一軒だけある家。一軒家ひとついえ。
      1. [初出の実例]「壱つ屋も月影にもつ隣哉〈作者不知〉」(出典:俳諧・伊勢正直集(1662)五)
    2. 同一の家。同じ家。ひとついえ。
      1. [初出の実例]「一家に遊女もねたり萩と月」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)市振)
  2. [ 2 ]
    1. [ 一 ] 武蔵国浅茅原(あさじがはら)にあったという一軒屋。一人の老婆が住み、旅人を泊めては殺していたが、観音の力によって悔悟したという伝説がある。
    2. [ 二 ] ( 一つ家 ) 歌舞伎脚本。時代物。一幕。河竹黙阿彌作。明治二三年(一八九〇)東京市村座初演。[ 一 ]劇化。新古演劇十種の一つ。

ひとつ‐いえ‥いへ【一家】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 一戸の家。
    1. [初出の実例]「なかがきこそあれ、ひとついへのやうなれば」(出典:土左日記(935頃)承平五年二月一六日)
  3. ひとつや(一家)[ 一 ]
    1. [初出の実例]「春の夜の夢のみたまとわが魂(たま)と逢ふ家らしき野のひとつ家(イヘ)」(出典:舞姫(1906)〈与謝野晶子〉)
  4. ひとつや(一家)[ 一 ]

ひと‐いえ‥いへ【一家】

  1. 〘 名詞 〙 家中。一家全部。
    1. [初出の実例]「いかにいかにとひといゑおぼし歎く程に、天祿三年十一月の一日かくれ給ぬ」(出典:栄花物語(1028‐92頃)花山たづぬる中納言)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の一家の言及

【家】より

…その結果が明治以降の天皇制家族国家の確立である。天皇家を総本家とする一国一家の挙国体制であった。国家という権力機構が骨肉の愛情関係をよそおう。…

【氏族】より

…日本中世の族縁呼称の一つであるが,史料の上では,一族,一家,一流などと混用されている場合が多く,はっきりした区別はまだつけられていない。しかし,一族,一家という族縁呼称がある一定の所領を共同知行し,その土地の地名をもってみずからの〈名字〉としている〈名字族〉という性格をもつのに対して,これら名字族がもとをただせば,藤原氏あるいは橘氏,大伴氏であるなどといわれる場合の側面を表現したものこそ,この氏族という呼称の本来のあり方だと考えるべきである。…

※「一家」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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