出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
… また訴訟にあたって,担当の奉行を招き,饗応し,引出物を贈ることも,前掲の太良荘預所による六波羅探題の奉行のもてなしにみられるように,鎌倉時代後期以降はふつうのことになっていた。当事者はそれによって奉行との人間関係を強め,訴訟を有利に導びこうとしたのであるが,この費用は〈沙汰用途(訴訟費用)〉の一部とされ,やがて室町時代になると,幕府の賦課する段銭(たんせん)の免除などのための訴訟にあたって,荘園支配者が奉行をもてなす費用は一献料(いつこんりよう),酒肴料(しゆこうりよう)といわれ,百姓がその半分を負担するのが慣行化し,奉行もその収入を当然のこととして期待するようになっていく。訴論人の主張の対決よりも,こうしたもてなしによる訴訟の解決方法が一般化した点にも,日本の社会におけるもてなしの慣習の根深さがうかがわれる。…
※「一献料」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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