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…金剛峯寺【和多 秀乗】
[空海の書]
空海は日本書道界の祖として重視され,嵯峨天皇とともに二聖と呼ばれ,また橘逸勢を加えて三筆とも呼ばれる。世に空海筆と称されるものは数多いが,確実に彼の筆と認められるのは《風信帖》《灌頂歴名》《真言七祖像賛》《聾瞽指帰(ろうこしいき)》《金剛般若経開題》《大日経開題》《三十帖冊子》などである。《風信帖》は空海から最澄にあてた書状で三通あり,いずれも812,3年ころのもの。…
…手迹見に在り〉とあり,特に隷書に秀でていたとされ,勅を奉じて平安宮内裏北面の安嘉(あんか),偉鑒(いかん),達智(たつち)の三門の額を書いたという。また《伊都内親王願文》《興福寺南円堂銅灯台扉銘》および《三十帖冊子》中の一部も彼の筆跡と伝える。《伊都内親王願文》は興福寺東院西堂の香灯読経料として,墾田ほかを寄進した際の内親王の願文であるが,江戸時代の初期に藤木敦直(1582‐1649)が逸勢の筆と称してから逸勢筆と伝えられるもので,特に根拠はない。…
…中国の書物は用紙の表面のみを印刷,裏が白であるのに対し,日本では両面印刷が特徴である。写本としては空海筆《三十帖冊子》(仁和寺蔵,国宝)が現存最古のものである。装丁【大内田 貞郎】。…
※「三十帖冊子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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