三国(読み)さんごく

精選版 日本国語大辞典 「三国」の意味・読み・例文・類語

さん‐ごく【三国】

[1] 〘名〙
① 三つの国家。「三国同盟
② (「国」は、日本の地方区分の一つの名) 三つの国。三か国。
※雑俳・柳多留‐一三(1778)「三国を雪ころはしでおっふさぎ」
[2]
[一] 日本・中国インドの三か国。また、全世界の意にも用いる。
平家(13C前)二「夫末代の俗に至ては、三国の仏法も次第に衰微せり」
※光悦本謡曲・白楽天(1464頃)「天竺の霊文を唐土の詩賦とし、唐土の詩賦をもって我朝の哥とす。三国をやはらげきたるをもって」
[二] 日本・中国・朝鮮の三か国。
※仮名草子・恨の介(1609‐17頃)上「天下繁昌、三国を一つ勢になし、さて我朝の諸大名は申に及ばず、まことに高麗の珍物を捧げ、唐人共の秀吉へ御宝を持ち参る事」
[三] 中国、後漢末の蜀・魏・呉の三か国。〔文選注‐三国名臣序賛〕
[四] 朝鮮の新羅・百済・高句麗、また、新羅・後百済・後高句麗の三か国。〔新唐書‐東夷伝・百済〕
[五] 朝鮮・琉球蝦夷総称

みくに【三国】

[一] 福井県北部の地名九頭龍川河口に臨む。北陸道要港で日本海三津七港の一つ。江戸時代には日本海西回り航路の寄港地として繁栄。現在は漁業根拠地・石油基地。東尋坊がある。
[二] 越前国(福井県)にあった古国。九頭龍川・日野川・足羽川の下流域を占めていた。

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デジタル大辞泉 「三国」の意味・読み・例文・類語

さん‐ごく【三国】

三つの国。

古く、日本・中国・インド、または日本・中国・朝鮮のこと。全世界の意にも用いる。
れ末代の俗に至っては、―の仏法も次第に衰微せり」〈平家・二〉
富士山が裾野をひく三つの国、駿河甲斐相模のこと。
古代中国で、後漢の滅亡後に天下を3分したしょくのこと。
4~7世紀の朝鮮で、新羅しらぎ百済くだら高句麗こうくりのこと。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「三国」の解説

三国(さんごく)

①〔中国〕中国で後漢の滅亡後に鼎立(ていりつ)した蜀(しょく)(蜀漢)の3国,あるいはその時代。後漢末の郡雄のなかで,後漢の献帝を擁した曹操(そうそう)は,202年袁紹(えんしょう)を破って華北を統一し,208年荊州(けいしゅう)の劉琦(りゅうき)を攻めたが,赤壁の戦いで,父の孫堅(そんけん)以来しだいに江南に勢力を占めた孫権と,劉琦の客将であった劉備(りゅうび)の連合軍に敗れ,劉備は211年蜀に入ってこれに拠り,荊州は呉に奪われた。こうして3国の鼎立状態が生まれたが,220年曹操の子曹丕(そうひ)が献帝の譲位を受けて帝位につくと,翌年劉備が,222年孫権も帝位について,魏,蜀,呉の3国ができた。このうち蜀が最も小さく,丞相(じょうしょう)諸葛亮(しょかつりょう)の死後,263年魏に滅ぼされたが,265年魏は実力者の司馬氏に奪われて(西晋)となり,280年晋は呉を併せて天下を統一した。

②〔朝鮮〕朝鮮の古代国家である高句麗百済新羅の総称。およそ紀元前後に高句麗が中国遼寧省桓仁(かんじん)を中心に成立し,やがて鴨緑江流域に勢力を築いた。4世紀には朝鮮半島中・南部で韓族の統合が進み,馬韓(ばかん)の伯済(はくさい)国(ソウル地方)が百済に,やや遅れて辰韓(しんかん)の斯盧(しろ)国(慶州地方)が新羅に成長。以後,朝鮮半島は三国抗争の時代に入り,やがて唐と連合した新羅が660年に百済を,そして668年に高句麗を滅ぼして朝鮮半島の統一的支配権を確立した。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三国」の意味・わかりやすい解説

三国
みくに

福井県北部,坂井市北西部の旧町域。九頭竜川河口の三角州を中心に三里浜加越台地の一部陣ヶ岡台地を占める。 1889年町制施行。 1954年雄島村,加戸村,新保村と合体,1955年芦原町の一部を編入。 1957年浜四郷村の一部と坂井村の一部を編入。 2006年丸岡町,春江町,坂井町と合体して坂井市となった。中心地区の三国はかつて三国湊と呼ばれた北前船の寄港地で,九頭竜水系の船運の要地にあたり,福井平野を後背地に日本海岸有数の商港として栄えた。内陸の鉄道網の発達とともに漁港に転換したが,のちに貿易港としての役割も担った。 1970年代から三里浜に臨海工業地区テクノポート福井が造成され,福井港,石油備蓄基地が建設され,県外から各企業が進出した。漁業が盛んで,ズワイガニ (エチゼンガニ) ,甘エビなどを水揚げする。砂丘ではラッキョウを産する。滝谷寺は国宝『金銅毛彫宝相華文磬』を所蔵,鎮守堂は国の重要文化財,庭園は国の名勝に指定されている。丸岡藩砲台跡は国の史跡。陣ヶ岡の海岸には輝石安山岩の柱状節理が発達した国指定の名勝・天然記念物の東尋坊をはじめ,雄島,越前松島などの景勝地があり,越前加賀海岸国定公園に属する。

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デジタル大辞泉プラス 「三国」の解説

三国

三省堂発行の小型国語辞典『三省堂国語辞典』の通称。

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