精選版 日本国語大辞典 「上手」の意味・読み・例文・類語
うわ‐て うは‥【上手】
〘名〙
※平家(13C前)四「つよき馬をばうは手にたてよ」
※人情本・春色梅児誉美(1832‐33)三「河上(ウワテ)に舟の見えねへのが山でごぜすと」
※人情本・春色雪の梅(1838‐42頃か)初「今日は何所だ。川上(ウハテ)か」
※日中行事(1334‐38頃)「束帯の人はうはてをはづす」
⑥ (形動) 技芸、才知などが、他の人よりすぐれているさま。また、その人。上手(じょうず)。また転じて、一段と悪いことにもいう。
※古本説話集(1130頃か)二六「さきざきなに事も、長能(ながたう)はうはてをうちけるに」
⑦ (形動) 人を威圧するような態度をとること。また、そのさま。たかびしゃ。
じょう‐ず ジャウ‥【上手】
〘名〙
※三代格‐一五・天応元年(781)三月八日「一町以賜二歩射之上手一」
※大和(947‐957頃)一三五「かへし、上ずなればよかりけめど、えきかねば書かず」
② (形動) おせじのうまいこと。如才(じょさい)のないこと。また、そのさま。おじょうず。口じょうず。
※史記抄(1477)一七「天然人の気に合ふ様に上手な者があるものぢゃぞ」
③ 江戸時代、囲碁・将棋の七段の別称。桃山時代に召し出された碁将棋衆を上手衆と言ったのがその始まり。江戸時代には免状は七段までで、上手に何子になったから何段を許すという形式を採り、上手になると外家(家元外)でも僧形になれば御城碁出仕を許された。
※仮名草子・仁勢物語(1639‐40頃)上「負け度重なりければ、主、其相手に夜毎に上手を付けて、打たせければ」
④ (━する) たくみにはかりごとをめぐらすこと。
※源平盛衰記(14C前)二八「人に上手(ジャウズ)せられぬ前に木曾を討たんとて」
かみ‐て【上手】
〘名〙 うえの方。上(かみ)の方。⇔下手(しもて)。
① 川の上流の方。
※狂言記・丼礑(1660)「ああ、いかふふかさうな、かみてへうって見ませう」
② 上座に近い所。
③ 舞台の、客席から見て右手の方。
※歌舞伎・四天王楓江戸粧(1804)三立「猪熊入道引き戻して上手(カミテ)へ突きやる」
④ 魚網の引綱の左の方。こうて。
※袖中抄(1185‐87頃)二〇「よわくひけば、かみてもしもても綱ゆるびてわろければ」
こう‐て かう‥【上手】
〘名〙 (「かみて」の変化した語) 網の左の大綱。
※袖中抄(1185‐87頃)二〇「引く島の網のうけ舟波間よりかうてふさすとゆふしでてかく」
じょう‐しゅ ジャウ‥【上手】
〘名〙 =じょうず(上手)〔広益熟字典(1874)〕 〔隋書‐楊素伝〕
じょう‐て ジャウ‥【上手】
〘名〙 =じょうず(上手)〔日葡辞書(1603‐04)〕
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