上辺(読み)ウワベ

デジタル大辞泉 「上辺」の意味・読み・例文・類語

うわ‐べ〔うは‐〕【上辺】

物の表面。おもて。外面
内実とは違った見せかけのようすや事情。見かけ。外観。「上辺をつくろう」
[類語]上面皮相表面外面的平面的化けの皮外見がいけん外見そとみ外面がいめん外面そとづら表向き見掛け外観みてくれ見た目見栄えなりふり体良く空空しい白白しいわざとらしい心にもない受け流す取り繕う繕う猫をかぶる見せかけ表面的薄っぺら浅薄あさはか名目的

かみ‐べ【上辺】

《古くは「かみへ」》かみの方。川の上流。⇔下辺しもべ
「―には千鳥しば鳴き下辺にはかはづ妻呼ぶ」〈・九二〇〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「上辺」の意味・読み・例文・類語

うわ‐べうは‥【上辺】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 物の表面。外面。おもて。うわっぺら。うわべら。
    1. [初出の実例]「白き紙のうはべはおいらかにすくすくしきに」(出典:源氏物語(1001‐14頃)胡蝶)
  3. 内実とは違った見かけ上の様子や事情。うわつら。うわっぺら。うわべら。→うわえなし
    1. [初出の実例]「うはべこそあれ、つらきことおほかり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)関屋)

かみ‐べ【上辺】

  1. 〘 名詞 〙 ( 古くは「かみへ」 ) うえの方。とくに、川の上流のあたり。⇔下辺(しもべ)
    1. [初出の実例]「吉野の川の〈略〉上辺(かみへ)には 千鳥しば鳴く 下辺には かはづ妻呼ぶ」(出典万葉集(8C後)六・九二〇)

じょう‐へんジャウ‥【上辺】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 上のあたり。
    1. [初出の実例]「尖頭柱を造り之を家傍、若くは屋上に建てて其上辺より銅線を垂れ」(出典:改正増補物理階梯(1876)〈片山淳吉〉下)
  3. 囲碁盤面の大まかな区分一つ棋譜に向かって上になる辺をさす。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の上辺の言及

【京都[市]】より

…市街地の偏在化が進んだために,このころになると本来の朱雀大路が西朱雀路と呼ばれる一方,東京極大路に東朱雀大路,鴨川(原)に朱雀河(原)の呼称が生まれている。また市域も二条大路を境に,上辺(かみわたり)・下辺(しもわたり)と呼ばれたが,これは中世では上京下京という呼称にかわる。また条坊制の四行八門の制による地点表示法が崩れはじめ,道路を基準とする表示法,たとえば〈油小路西,六角通北〉といったいい方が11世紀の後葉に登場したのも留意されるところで,これは人為的な都市が生活に即した形に変容しはじめたことを物語っている。…

【平安京】より

…このころになると,東河といわれた鴨川の東,白河の地に市街地が形成され,〈京・白河〉の称が生まれる一方,鴨川(原)を朱雀川(原),東京極路(とくに二条以北)を東朱雀路と呼ぶこともあった。他方,市街地の北と南の区別が二条通(大内裏南辺の東西路)を境にしてなされ,上辺(かみわたり),下辺(しもわたり)の称も生まれた。のちの上京,下京である。…

※「上辺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

お手玉

世界各地で古くから行われている遊戯の一つ。日本では,小豆,米,じゅず玉などを小袋に詰め,5~7個の袋を組として,これらを連続して空中に投げ上げ,落さないように両手または片手で取りさばき,投げ玉の数や継...

お手玉の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android