下草（読み）シタクサ

デジタル大辞泉

した‐くさ【下草】

《「したぐさ」とも》
１ 木の下などに生えている草。森や林に生える丈の低い草木。
２ 取るに足らない者。日陰者。
「かかる―頼もしくぞ思おぼしなりぬる」〈源・玉鬘〉
[類語]草・草本・千草・春草・若草・夏草・秋草・冬草・枯れ草・干し草・蔓草・水草・浮き草・牧草・薬草・ハーブ・野草・庭草・雑草・下生え・山草

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

した‐くさ【下草】

1. 〘 名詞 〙 ( 現在は「したぐさ」とも )
2. ① 林の木の下に生える草や小さな木。したばえ。
   1. [初出の実例]「事痛(こちたく)はかもかもせむを磐代(いはしろ)の野辺の下草吾れし刈りてば」(出典：万葉集（８Ｃ後）七・一三四三)
   2. 「花園の胡蝶をさへやしたくさに秋まつ虫はうとく見るらむ」(出典：源氏物語（1001‐14頃）胡蝶)
3. ② 庭園などで、地面をいろどるために植える草。
   1. [初出の実例]「花のしん、下くさなどくれひとおほせられた程にもって参る」(出典：虎明本狂言・真奪（室町末‐近世初）)
   2. 「立花も、しんをたて、下草にていろどる也」(出典：わらんべ草（1660）四)
4. ③ とるにたりない者。つまらない者。日陰者のたとえ。
   1. [初出の実例]「はらばらの、なにともあるまじき御子ども、みな物めかしなしたて給ふを聞けば、かかるしたくさたのもしくぞ思しなりぬる」(出典：源氏物語（1001‐14頃）玉鬘)

出典　精選版 日本国語大辞典

日本大百科全書(ニッポニカ)

下草
したくさ

森林や樹群の下層に生育する草や小低木。下草は表土が雨水によって流失したり固結するのを防ぎ、樹木の生育を助ける働きをする。また野生生物の採餌(さいじ)、営巣、避難場所の機能も有する。農家林では下草は堆肥(たいひ)や家畜飼料として利用されたが、いまはほとんどなされていない。また庭園などの樹群の下草は風致景観上からも必要である。森林の下草は自然に生育する野草や低木であるが、その構成は森林の樹種や構造、土地条件などによって違う。土地条件を測定する指針となる指標植物として下草が利用されることが多い。

［蜂屋欣二・藤森隆郎］

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)