不安神経症(読み)ふあんしんけいしょう(英語表記)Anxiety neurosis (Generalized anxiety disorder:GAD)

精選版 日本国語大辞典 「不安神経症」の意味・読み・例文・類語

ふあん‐しんけいしょう ‥シンケイシャウ【不安神経症】

〘名〙 不安を主症状とする神経症。急に不安におそわれ、動悸(どうき)めまいが起こり苦悶状態となるパニック障害と、漠然とした慢性全般性不安障害がある。不安障害。〔ニューシンク入門(1969)〕

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デジタル大辞泉 「不安神経症」の意味・読み・例文・類語

ふあん‐しんけいしょう〔‐シンケイシヤウ〕【不安神経症】

不安障害

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六訂版 家庭医学大全科 「不安神経症」の解説

不安神経症(全般性不安障害)
ふあんしんけいしょう(ぜんぱんせいふあんしょうがい)
Anxiety neurosis (Generalized anxiety disorder:GAD)
(こころの病気)

どんな病気か

 不安を主症状とする神経症を、不安神経症といいます。

 不安は漠然とした恐れの感情で、誰でも経験するものですが、はっきりした理由がないのに不安が起こり(あるいは理由があっても、それと不釣り合いに強く不安が起こり)、いつまでも続くのが病的な不安です。不安神経症では、この病的な不安がさまざまな身体症状を伴って現れます。

 なお、国際疾病分類などでは「神経症」という用語はすでに正式な診断名としては使われなくなっており、従来の不安神経症にあたる診断名は、現在では「パニック障害」か「全般性不安障害」です。

 パニック障害急性・突発性の不安症状が特徴ですが、全般性不安障害は慢性の不安症状が長く続くのが特徴です。パニック障害については次項で述べるので、ここでは全般性不安障害について解説します。

原因は何か

 一般に、神経症の原因は心理的な出来事心因)とされていますが、実際にはそのような出来事がみられないこともしばしばあります。全般性不安障害の場合も、何らかの精神的なショック、心配ごと、悩み、ストレスなど、精神的原因と思われる出来事のあることもありますが、まったくないこともあり、また、過労、睡眠不足、かぜひきなど、一般的な身体的悪条件がきっかけで発症することもあります。日常生活上のさまざまなストレスを背景に、いつのまにか発症しているというのが普通です。

 全般性不安障害はもともと神経質で不安をもちやすい性格の人に多くみられ、女性に多く、男性の倍以上といわれています。

症状の現れ方

 慢性的な不安、過敏、緊張、落ち着きのなさ、イライラ、集中困難などの精神症状と、筋肉の緊張、首や肩のこり、頭痛頭重(ずじゅう)、震え、動悸(どうき)、息苦しさ、めまい頻尿(ひんにょう)下痢、疲れやすい、不眠(寝つきが悪い、途中で目が覚める、眠りが浅い)などの多様な身体症状(いわゆる不定愁訴)がみられます。

 何かにつけて過度の不安・心配がつきまとい、それが慢性的に続く(診断基準では6カ月以上)のが特徴で、不安は種々の精神・身体症状を伴っています。多くの患者さんは身体症状のほうを強く自覚し、どこか体に異常があるのではないかと考え、あちこちの病院で診察や検査を受けるのが常ですが、症状の原因になるような身体疾患はみられません。

 経過は慢性で、日常生活のストレスの影響を受け、よくなったり悪くなったりしながら多くの場合何年にもわたって続きます。途中から、気分が沈んでうつ状態となり、うつ病に移行することもあります。また、アルコールで不安をまぎらわそうとして、アルコール依存症(おちい)ることもあります。

検査と診断

 診断は、先に述べた症状と経過の特徴からなされ、検査で特別な異常はみられません。身体疾患を除外するための検査(尿、血液、心電図、X線、超音波など一般内科的検査)が行われ、これらの検査で症状に見合う異常が見つからない場合に診断が確定します。

治療の方法

 薬物療法と精神療法があります。

 薬物としては、抗不安薬(ベンゾジアゼピン誘導体:セルシンなど、タンドスピロン:セディールなど)が用いられ、症状と関連のある日常生活上の悩みやストレスについて、医師に相談しアドバイスを受けるなどの精神療法が行われます。

 ベンゾジアゼピンは連用すると依存症になりやすいので、最小限にとどめ、アルコールと併用しないようにしなければなりません。うつ症状を合併する場合は抗うつ薬(SSRI:選択的セロトニン再取り込み阻害薬〔デプロメール、パキシル、ジェイゾロフト〕 など)が用いられます。深呼吸や筋弛緩を用いたリラクセーション法や、有酸素運動は有効で、自分で行うことができます。

病気に気づいたらどうする

 さまざまな身体的自覚症状のために内科などを受診し、検査を受け、異常がないとわかったら、精神科か心療内科を受診しましょう。

 不安神経症(パニック障害または全般性不安障害)と診断されたら、気のせいなどではなく不安の病気と受けとめ、信頼できる医師のもとで根気よく治療を続けてください。症状の完全な消失がなくても、少しでもよくなったら、そのぶん前向きに生活していく考え方が必要です。ドクター・ショッピング(医師や病院をわたり歩く)や民間療法、健康食品などへの過度の依存はやめましょう。家族など周囲の理解も重要です。

関連項目

 パニック障害うつ病

竹内 龍雄

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百科事典マイペディア 「不安神経症」の意味・わかりやすい解説

不安神経症【ふあんしんけいしょう】

神経症の一種。明白な現実的対象のない漠然とした恐怖などの不安な状態の持続や発作を主徴とする。一般に動悸,呼吸困難,心気症状などを呈し,発作では悪心(おしん),嘔吐(おうと),頻尿(ひんにょう),身体の種々の部位の疼痛(とうつう)などもきたす。治療は鎮静薬・精神安定剤投与,各種精神療法など。
→関連項目外傷性神経症過換気症候群出社拒否症神経質精神身体医学パニック障害マタニティ・ブルー

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「不安神経症」の意味・わかりやすい解説

不安神経症
ふあんしんけいしょう

不安を主症状とする神経症で、神経症のうちもっともよくみられる型である。

[編集部]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「不安神経症」の意味・わかりやすい解説

不安神経症
ふあんしんけいしょう
anxiety neurosis

浮動性不安,予期不安,不安発作を主症状とする神経症。不安発作は症状として動悸,呼吸困難,胸部絞扼感,胸内苦悶,発汗,振戦などが急性,発作性に出現する。患者は発作の再現を恐れて外出恐怖,乗物恐怖に陥ることが多い。 S.フロイトは,強迫神経症に比べてより現実的な不満や葛藤があると考えた。

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世界大百科事典内の不安神経症の言及

【現実神経症】より

…彼は神経症を現実神経症と精神神経症とに区別したが,小児期からの心理的葛藤ではなく,現実の性的活動が不適切なことによる生理的緊張の集積の結果,自律神経症状や情動障害を呈する一群があると考え,それを現実神経症とした。これには神経衰弱と不安神経症が含まれ,神経衰弱は過剰な性活動のため,不安神経症は性的興奮が十分に発散されないための中毒と考えられ,のちに心気症もこれに加えられた。これに対し,精神神経症には転換ヒステリー,不安ヒステリー,強迫神経症が含まれ,これらは性衝動をめぐる葛藤に起因するものであり,性衝動の発達段階と抑制機制とによって象徴的な症状が形成されると理解された。…

【神経症】より

…(4)神経症には特有の病前性格が認められ,それは情緒的な成熟度が低く,環境に対して欲求不満や葛藤を起こしやすく,それを適切に処理することのできない性格傾向である。
[類型]
 (1)不安神経症 不安,つまり明りょうな対象のない漠然とした恐れを主症状とする。不安は,動悸,呼吸促進,息切れ,胸内苦悶,尿意頻数,冷感,しびれなどの自律神経症状と緊張感や無力感を伴う。…

【精神分析】より

…例外はクラインで,彼女は個人の内的な自己破壊衝動の外界への投影をもっぱら考える〈死の本能〉肯定論者である。 不安神経症という神経症類型を抽出したのはフロイトだが,彼は一貫して不安の問題に取り組んだ。彼は初期には,蓄積された身体的・性的興奮がなんら心的な加工を経ることなく直接に不安に変換されるという病因論を唱えている。…

※「不安神経症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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