不確定性原理(読み)フカクテイセイゲンリ(その他表記)uncertainty principle

デジタル大辞泉 「不確定性原理」の意味・読み・例文・類語

ふかくていせい‐げんり【不確定性原理】

量子力学における基礎的原理。原子電子などの世界では、一つの粒子について、位置と運動量、時間とエネルギーのように互いに関係ある物理量を同時に正確に決めることは不可能であること。1927年にハイゼンベルクが提唱。
[補説]同時に正確に決めることができない位置と運動量、時間とエネルギーのような物理量の組み合わせ不確定性関係という。Aqを測定による粒子の位置の誤差、Bpを位置の測定に伴う粒子の運動量の乱れとすると不確定性原理はプランク定数を使い、AqBp≧h/4πという不等式で表される。左辺は二つの物理量の誤差と乱れの積であるが、どちらか一方を零にするともう一方が無限大になってしまうことから、両方の厳密な値を同時に測定できないことを意味している。現代物理学において長らくこの式が正しいとされていたが、平成15年(2003)に日本の小沢正直はハイゼンベルクの式を修正した小沢の不等式を提唱し、平成24年(2012)にその修正した式が実験的に正しいことが明らかになった。

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精選版 日本国語大辞典 「不確定性原理」の意味・読み・例文・類語

ふかくていせい‐げんり【不確定性原理】

  1. 〘 名詞 〙 量子力学に特徴的な基礎的原理。位置と運動量、時間とエネルギーのような関係のある一組の物理量を同時に正確に決めることは不可能であるということ。それらは確率的に与えられ、両者の不確定さの積はプランクの定数より小さくはならない。一九二七年ドイツの物理学者ハイゼンベルクが初めて提唱した。〔自然科学的世界像(1938)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「不確定性原理」の意味・わかりやすい解説

不確定性原理
ふかくていせいげんり
uncertainty principle

原子や素粒子などの微視的世界の粒子の位置と運動量を測定すると、粒子の状態が同じであってもこれらの物理量の測定値は一般にばらつく。この場合、ばらつきの大きさの間には定まった関係がある。この関係を原理のようにみなしたとき、この関係を不確定性原理という。ドイツのハイゼンベルクが1927年にみいだしたものである。

[田中 一]

古典的世界と微視的世界の運動

図Aの(1)のように野球のボールをたたくとボールは飛んでいく。ボールは飛行中つねに確定した位置と確定した速さあるいは速度を有していて、図Aの(2)のようにボールの運動状態を1個の点の描く曲線として示すことができる。しかし、微視的世界の粒子の運動では事情がまったく異なる。図Bの(1)は水素原子内電子の位置x座標を測定した結果であり、軸の方向は任意である。位置のy座標やz座標についても同様な結果となる。水素原子内電子は太陽系内の惑星のように軌道を描いて陽子の周りを運動しているのではなく、波のような運動状態にある。この状態にある電子の位置の測定値は、運動状態が同一であっても測定ごとに測定値がばらついているが、多数回測定したときに得られる個々の測定値の頻度は測定値ごとに定まっている。図Bの(1)は電子の位置の測定値の頻度分布を確率で示す。図BのΔxは測定値のばらつきの大きさである。

 図Bの(2)では、電子の速さの測定値のかわりに運動量(速さ×質量)の測定値の頻度分布と測定値のばらつきの大きさΔpを示す。このばらつきの大きさは、それぞれ

である。ここでħはプランク定数hを2πで割ったものである。これら二つのばらつきの大きさを乗じた結果は(2/3)=0.816…となって1/2ħより大きい。この関係すなわちΔxΔp≧ħ/2を不確定性関係といい、水素原子内電子の運動の場合のみならず粒子の運動一般の位置と運動量の間に成り立つ。そればかりではなく、もっと広く正準共役(きょうやく)な力学変数の間でもつねに成り立つ。この関係は、微視的世界の粒子の運動状態の特徴の核心を示したものであって、共役な物理量の間の関係を不確定性関係という。この関係を用いると量子的現象の多くの特徴を理解することができる。とくにこの点に注目したとき不確定性関係を不確定性原理とよぶ。

[田中 一・加藤幾芳]

量子力学と不確定性原理

図Bの(1)と(2)とを後に示す方法で一つの図にまとめたものが図Cであって、水素原子内電子の状態を有限な広がりをもつ雲のような点の分布で示す。このような分布で表される微視的世界の粒子の状態と図Aの(2)の1点で表される古典的世界の粒子の運動状態とを比べてみれば、微視的世界の力学すなわち量子力学が古典力学といかに異なっているかを知ることができよう。

 粒子の量子力学的運動状態のなかには、粒子の位置がほぼ定まっていてΔxがゼロに近い場合がある。しかし、この場合には不確定性関係から、運動量のばらつきΔpがħ/(2Δx)よりつねに大きいことを考えると、Δx→0となるにしたがいΔpは→∞となって運動量のばらつきはきわめて大きくなってしまう。運動量のばらつきが小さくなっても同じである。

 不確定性関係は位置xと運動量pの間の特別の関係すなわち交換関係xppxiħから理論的に導くことができる。したがって、不確定性関係は微視的状態すなわち量子的状態の特徴を示すものであって、主観的なものでなく、客観的なものである。時間とエネルギーとの間にも、不確定性関係と同様な関係ΔtΔE≧ħ/2が成り立つ。エネルギーの高い状態にある粒子は、時間がたつにしたがって急速にエネルギーの低い状態に移っていく。このときの時間間隔Δtとエネルギー間隔ΔEの間に不確定性関係と同様の関係が成り立つことを示すことができる。この結果、短い時間の間であれば粒子は高いエネルギー状態をとることができることがわかる。

 図Bの(1)と(2)から図Cの画面の図を作成するには、まず図Cの画面を等間隔の縦と横の何本かの直線で多数の正方形の小区画dに分ける。次にこの小区画dに対応する位置x'と運動量p'の値に対する図B(1)と図B(2)の確率Px'Pp'を求め、両確率の積Px'Pp'に比例する濃度で小区画dを塗りつぶす。塗りつぶすかわりに、この確率の積に比例する数の点をランダムに打ってもよい。この処理を小区画全体にわたって行う。図Cは40×40に分けたときのものである。

 量子力学では、座標と運動量のそれぞれの分布を表す二つの図(図Bの(1)、(2))ではなく、一つの図(図C)で表すことができる。

[田中 一・加藤幾芳]

不確定性関係と物理法則

古典力学によるならば、水素原子内の電子は円軌道運動という加速度運動を行っているため絶えず電磁波を放出し、その結果、1000億分の1秒で崩壊してしまうことになる。つまり、古典力学では水素原子の安定性を導き出すことができないことを意味する。電子が力学的に運動しながらその運動範囲を縮めていくとΔxもまた小さくなり、不確定性関係からΔpが大きくならざるをえなくなる。このとき運動エネルギーが増大する。電子はエネルギーが大きいこのような状態をとらない。いいかえれば電子の運動範囲はある限度以下に小さくなることができない。このように不確定性関係は水素原子の安定性の根拠を端的に示すことができる。

 不確定性原理の提唱後、これを広く事象一般に適用するとともに因果律を否定する見解が現れて思想と哲学にも大きな影響を与えた。とくにハイゼンベルクが最初、不確定性関係を導くのに用いた方法は、実際の実験ではなく、思考上の実験として粒子の位置を引き続いて測定したときに生じる対象の乱れに注目したものであった。このため、これは主観が客観に関与する格好の例として、また世界の非因果性を示す具体例としてもたびたび取り上げられた。しかしながら、先に述べたように、不確定性関係は量子力学的に簡単に導くことができるもので、量子力学的に運動する粒子の状態をあいまいさなく表現したものである。したがって量子力学の不完全さや自然が非因果的であることを示すものとは考えられていない。

 小澤正直(1950― )はハイゼンベルクの不確定原理の導出に不十分な点があることをみつけ、その点を改善して疑義のない導出を与えた。2003年(平成15)に提唱し、「小澤の不等式」とよばれている。

[田中 一・加藤幾芳]

『並木美喜雄著『不確定性原理』(1982・共立出版)』『大森英樹著『数学のなかの物理学――幾何学的量子論へむかって』(2004・東京大学出版会)』『原康夫著『量子の不思議――不確定性原理の世界』(中公新書)』『都筑卓司著『不確定性原理――運命への挑戦』新装版(講談社・ブルーバックス)』


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改訂新版 世界大百科事典 「不確定性原理」の意味・わかりやすい解説

不確定性原理 (ふかくていせいげんり)
uncertainty principle

電子の位置と運動量(=質量×速度)の両方,一般にはどんな対象についても力学で正準共役な対といわれる二つの量を同時に精密に決めることはできないという量子力学の定理。量子力学の物理的な理解に重要な鍵となるので,しばしば原理の名で呼ばれる。量子力学のもとになったマトリックス力学の発見にあたり(1925),W.ハイゼンベルクは原子の中での電子の軌道は観測できないから物理の対象にすべきでないと考えてこれを排除し,観測できる量の間の関係だけが登場する形の理論をさがして成功した。しかし,ウィルソン霧箱を使えば宇宙線による電子の飛跡が見られるように,電子の軌道が観測できる場合もあるので,理論はこれを記述しなければならない。電子の軌道運動の概念を見捨てるべきでないということは,1926年に波動力学をつくったE.シュレーディンガーの強い主張でもあった。原子の中とウィルソン霧箱の中との電子の軌道の質的差異を求めて,ハイゼンベルクが27年に到達したのが,粒子の位置座標xと運動量pxとの測定誤差x,⊿pxの間につねに成り立つ不等式,

 ⊿x・⊿px≧ℏ/2 ……(1) 

である。これをハイゼンベルクの不確定性関係ともいう。ここにℏ=1.05×10⁻34J・sはプランク定数hを2πで割ったものである。もし原子内でボーア原子模型におけるような古典力学的軌道が成立したとすると,例えば水素原子の基底状態の場合,電子の軌道半径はa0=0.53×10⁻10m,運動量の大きさは質量9.1×10⁻31kgと速さ2.2×106m/sの積でp0=2.0×10⁻24kg・m/sとなる。いまかりに運動量pxp0の1/10の誤差で測定したとすれば,位置座標xの測定誤差は,不確定性関係(1)から,

 ⊿x≧(ℏ/2)/2.0×10⁻25kg・m/s=2.6×10⁻10m

となり,軌道半径の5倍に達する。これでは軌道について語ることは意味をなさない。他方,霧箱の中での電子の軌道は何十億倍も大きいから,この程度の誤差は問題にならない。そもそも霧粒が上の⊿xより大きくて,ずっと大きな誤差を生む。霧箱で見る電子の運動という概念はその上に成立しているのである。同様のことは水素原子と霧箱に限らずミクロマクロの対立として一般にいえる。ハイゼンベルクによる軌道概念の廃棄はマクロの世界に及ばず,シュレーディンガーの望んだ時空記述もミクロの世界では許されない。両者の限界を示すのが不確定性原理である。

(1)式を導いたハイゼンベルクの論拠の一つは次の思考実験にあった。電子の運動を顕微鏡で見るものとする。用いる光の波長がλなら,電子の位置を⊿x~λの程度より詳しく知ることはできない。光の波動性による回折現象のために像がぼけるからで,原子内の電子の位置を精度よく見分けるには波長の短いγ線でも使うほかない。他方,電子に光を当てることはフォトンを衝突させることだから,電子の運動量がフォトンの運動量h/λの程度は変わってしまう。つまり誤差⊿pxh/λが不可避である。よって,

 ⊿x・⊿px~λ・(h/λ)=h

となる。顕微鏡のレンズの絞りなどを考慮して議論を精密にしても結論は変わらない。この思考実験では光の波動・粒子の二重性が不確定性関係をもたらしており,この結論の普遍性をうかがわせる。実際,ハイゼンベルクは種々の観測法を詳しく検討して,このことを確かめた。

(1)式の不確定性関係は,1927年,28年にE.H.ケナードとH.ワイルにより量子力学で基本的な正準交換関係,

から厳密に証明された。ここにxpx直角座標系における粒子のx座標と運動量のx成分pxに対応する量子力学的演算子であり,⊿xは同じ条件に用意した多くの対象系の半分に対しxの測定をしたとして(測定値-平均値)2の平均の平方根と定義する。⊿pxは残り半分の対象系に対しpxの測定をしたとして同様に定義する。こうして,量子力学における不確定性関係はxpxが同時に(1)の限界をこえて精密に定まっている状態はこの力学体系の中に存在しないことを意味する。しかしxpypyx=0,pxpypypx=0等々なので,座標と運動量との異なる成分,あるいは運動量どうし,位置座標どうしの同時に確定した状態の存在は排除されない。

不確定性関係の量子力学における上述の意味からして,もし何らかの観測で(1)の制約を破る状態が実現できたら,量子力学はその記述ができず不完全ということになる。量子力学の確率的性格を不満としたアインシュタインは,この意味の不完全性を示すべく不確定性関係を破るという種々の観測法を提案したが,すべてN.ボーアによって論破された。1927-30年にわたるこの論争で量子力学の概念的基盤の理解が進み,ボーアの相補性原理などの収穫を生んだが,検討は今日もなお続けられている。

もし原子の電子が古典力学的にエネルギーを低めて核に付着すれば位置座標と運動量が確定し,不確定性原理に矛盾する。これが水素原子がつぶれないで存在することの概念的根拠とされる。しかし,(1)から波動関数を小さい体積におしこめると運動エネルギーが高くなると論じて原子の基底状態の存在を導くのは正しくない。遠く離れた二つの小体積をとれば⊿xは小さくならないからであって,論理を正すために不確定性関係の拡張が行われ,電子と原子核の多体系の安定性が厳密かつ概念的に分明に証明されている。
交換関係
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化学辞典 第2版 「不確定性原理」の解説

不確定性原理
フカクテイセイゲンリ
uncertainty principle

量子力学の出現によって,微視的世界の観測には,ある程度の不確定さが観測上の限界として存在することをW. Heisenbergが発見した.これをハイゼンベルクの不確定性原理という.いま,動いている電子の位置と運動量を測定するために,図のような顕微鏡を考える.すると,x方向の距離の測定精度は使用する光の波長λによって制限され,図のような配置で,その誤差はおおよそ次式で表される.

それゆえ,波長λを短くすれば誤差はいくらでも小さくできると考えられる.ところが,波長を短くすると,それに伴って光照射によるコンプトン効果によって電子の運動量が増加することになる.それによる運動量の観測誤差はコンプトン効果の計算結果から,次式のように得られる.

すなわち,運動している電子の位置とその方向の運動量の観測誤差の積は,次式で表される.

Δ pxΔxh

x方向は任意の方向にとれるから,どちらの方向でもこの関係は成立する.同様な式は時間tとエネルギーEの間でも成立することが上式の不確定性関係から導くことができる.

ΔtΔEh

(証明:Epx2/2mなので,ΔE = (px/mpxvxΔ px.一方,Δt = Δx/vxh/(vxΔ px)なので,ΔtΔEhが得られる).これらの不確定性関係は,量子力学の展開から見いだされたものではあるが,むしろ,量子力学がこの原理のうえに成立しているとみるべきである.不確定性関係は,シュレーディンガーの波動力学やハイゼンベルクの行列力学を組み立てていく過程で自動的に組み込まれていくようになっている.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「不確定性原理」の意味・わかりやすい解説

不確定性原理
ふかくていせいげんり
uncertainty principle

量子力学における粒子と波動の二重性を古典論的な立場から理解するため,ウェルナー・カルル・ハイゼンベルクが導いた原理。たとえば一つの電子の位置 x と運動量 p を測定したとき,その不確かさをそれぞれΔxΔp とすると,ΔxΔph/4π(h はプランク定数)という不確定性関係が成り立つことが示される。ハイゼンベルクとニールス・ボーアは,古典論的な立場からこの原理の意味を理解するため,多くの思考実験を提案した。たとえば,ある時刻における電子の位置と運動量とを正確に測定しようとする場合,位置を正確に測定しようとすれば,できるだけ短い波長の光をあてなければならない。ところが,このような光は電子にあたると電子に運動量を与えて散乱される(→コンプトン効果)。この散乱光をレンズで集めるためには,散乱光がレンズの張る角度内にあることが必要である。この条件から,電子の運動量の範囲が定まるが,その不確定さは光の波長が短いほど大きい。このような思考実験によって,不確定性原理が正しいことがわかる。なお,時間 t とエネルギー E を測定する場合にも,ΔtΔEh/4π という不確定性関係が存在する。名古屋大学教授の小沢正直は,2003年に量子論理学の立場から,ハイゼンベルクの不等式の左辺に量子ゆらぎの項を加えた修正,精密化を提唱した。2012年に,ウィーン工科大学原子核研究所の長谷川祐司准教授らによる,中性子のスピン測定の実験により,小沢の不等式が正しいことが検証されたと発表された。

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百科事典マイペディア 「不確定性原理」の意味・わかりやすい解説

不確定性原理【ふかくていせいげんり】

一個の粒子の位置xとその方向の運動量p(/x)を同時に測定した場合,測定値には必ずある不確定さΔx,Δp(/x)が伴い,その間にΔx・Δp(/x)≧h/2(hはプランク定数を2πでわったもの)の関係が成立するという原理。1927年にハイゼンベルクが導いた。古典力学ではこのような不確定性がない(h→0の場合に相当)ため位置と運動量を同時に厳密に測定でき,粒子の力学的状態を一義的に決定できるが,量子力学では不確定性原理により位置と運動量の一方を厳密に測定すれば他方の誤差はきわめて大きくなり,素粒子などではその力学的状態は一義的に決定できず確率的にしか記述できない。電子が時刻tにもつエネルギーEを測定するときも同様な不確定の関係Δt・ΔE≧h/2が現れる。不確定性原理は物質や光が粒子と波動の二面性をもつことの反映で,量子力学を古典力学から区別する重要な関係である。→相補性
→関連項目決定論思考実験量子力学

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知恵蔵 「不確定性原理」の解説

不確定性原理

量子世界の様子が1つに定まらないこと。1927年、W.ハイゼンベルクが提唱した。たとえば粒子の位置と運動量は、片方を精密に決めようとするともう一方が大きくばらつく。双方のばらつきを掛け合わせたものは必ず一定値を超える。量子力学の波が観測の瞬間にしぼんで粒子が姿を現すときのゆらぎに対応。時刻とエネルギーにも同様の関係がある。

(尾関章 朝日新聞記者 / 2007年)

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法則の辞典 「不確定性原理」の解説

不確定性原理【indeterminate principle,uncertainty principle】

質点の位置と運動量を同時に決定しようとすると,一方を正確に測定すれば他方は原理的に不正確となる.それぞれの不正確さ(位置 ⊿q,運動量⊿p)の積は作用量子 h と同程度となる.ハイゼンベルクによってはじめて明確に指摘されたもので,量子力学の根本をなす重要な原理である.

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