中尾 佐助(読み)ナカオ サスケ

20世紀日本人名事典 「中尾 佐助」の解説

中尾 佐助
ナカオ サスケ

昭和・平成期の生態学者 大阪府立大学名誉教授。



生年
大正5(1916)年8月12日

没年
平成5(1993)年11月20日

出生地
愛知県豊川市

学歴〔年〕
京都帝国大学農学部農林生物学科〔昭和16年〕卒

学位〔年〕
農学博士

主な受賞名〔年〕
日本エッセイスト・クラブ賞(第8回)〔昭和35年〕「秘境ブータン」,なにわ賞〔昭和37年〕,毎日出版文化賞(第14回)〔昭和62年〕「花と木の文化史」,勲三等旭日中綬章〔平成1年〕,秩父宮記念学術賞(第26回)〔平成2年〕

経歴
旧制八高、京大時代は登山にあけくれる。戦後、ヒマラヤ山系や西アフリカへ20回に及ぶ探険を行い、新種50種を含む1万数千種の植物を採取した。京大農学部副手、蒙古西北研究所主事、木原生物学研究所嘱託を経て、大阪府立大学教授。退官後、鹿児島大学教授を務めた。農耕文化を素材として文明の生態や起源を探究し、著書に「栽培植物農耕の起源」「照葉樹林文化」「現代文明ふたつの源流」など。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「中尾 佐助」の解説

中尾佐助 なかお-さすけ

1916-1993 昭和後期-平成時代の栽培植物学者。
大正5年8月12日生まれ。昭和36年大阪府立大教授となり,55年鹿児島大教授。栽培植物の起源などに関してアジア,アフリカをひろく学術調査する。日本の農耕文化の起源と南アジア一帯の照葉樹林文化との関連を指摘した。平成5年11月20日死去。77歳。愛知県出身。京都帝大卒。著作に「秘境ブータン」「花と木の文化史」など。
格言など】僕がアジア人だから文化の母である林にピンときた(日本,中国,東南アジアと連なる照葉樹林について)

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

367日誕生日大事典 「中尾 佐助」の解説

中尾 佐助 (なかお さすけ)

生年月日:1916年8月12日
昭和時代;平成時代の栽培植物学者。大阪府立大学教授;鹿児島大学教授
1993年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の中尾 佐助の言及

【栽培植物】より

…また59年G.P.マードックは,《アフリカ――人びととその文化史Africa,its Peoples and their Cultural History》という本の中で,西アフリカのニジェール川流域に,アフリカイネや数種の雑穀,ササゲなどの栽培化を伴った独自の重要な栽培植物起源地域の存在することを,初めて強調した。66年中尾佐助は《栽培植物と農耕の起源》という著作の中で,今までの知見やアジアの広い地域にまたがる独自の植物探検調査に基づいて,世界における四大農耕文化複合,つまり根栽農耕文化,サバンナ農耕文化,地中海農耕文化および新大陸農耕文化の存在を明らかにし,各農耕文化に特徴的な栽培植物群の存在を指摘した。さらにハーランJ.R.Harlanは75年,《作物と人間Crops and Man》という著書の中で,ド・カンドル以来最近までに得られた知見を総合的に考察して,世界における栽培植物の地理的中心地域を六つの地域にまとめている。…

【照葉樹林文化】より

…この照葉樹林帯に共通する文化要素によって特色づけられる文化を〈照葉樹林文化〉と呼ぶ。 この文化概念をはじめて提唱した中尾佐助によると,ワラビやクズ,あるいはカシ,トチなどの堅果類を水さらしによりあく抜きする技法,茶の葉を加工して飲用する慣行,繭から糸をひいて絹をつくり,ウルシやその近縁種の樹液を用いて漆器をつくる方法,かんきつとシソ類の栽培と利用,こうじを用いて酒を醸造することなどが,共通の文化要素のおもなものとしてあげられた。さらに照葉樹林帯の文化を特色づけるものにサトイモ,ナガイモなどのイモ類のほか,アワ,ヒエ,キビ,シコクビエ,モロコシ,おかぼなど大量の雑穀類を栽培する焼畑農耕によって,その生活が支えられてきたことがあげられる。…

※「中尾 佐助」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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