中波放送(読み)ちゅうはほうそう(英語表記)medium wave broadcasting

精選版 日本国語大辞典 「中波放送」の意味・読み・例文・類語

ちゅうは‐ほうそう‥ハウソウ【中波放送】

  1. 〘 名詞 〙 中波のうち五二六・五~一六〇六キロヘルツの電波を用いて行なう放送。国内向けラジオ放送に用いられている。略号 AM
    1. [初出の実例]「中波放送、〈略〉音声多重、ステレオ放送、文字多重等、次から次へと技術革新の波は押し寄せている」(出典:放送よもやま話(1981)〈坂本朝一〉I ・内幸町界隈)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「中波放送」の意味・わかりやすい解説

中波放送
ちゅうはほうそう
medium wave broadcasting

中波帯の電波を用いて行うラジオ放送(割当て周波数は526.5~1606.5キロヘルツ)。中波放送には振幅変調(AM:amplitude modulation)方式が採用されていることから、AM放送ともよばれる。音質はかならずしもよくないが、受信機が安価にできるメリットがある。中波放送の電波は、昼間地表を伝わり、ビルや丘など多少の凹凸には影響を受けないので、受信範囲(サービスエリア)は広い。夜間は電波が電離層で反射されて遠方まで伝わるので、遠隔地の放送も聞こえるようになるが、その反面、周波数の近接した放送局の電波と混信することにもなる。海外諸国の中波放送局の増加に伴い、外国からの放送波が混信することが増えてきた。とくに周波数割当て間隔の異なった国の電波とのビート混信(うなり)はきわめて聞きづらい。このため1978年にアジア、オセアニアとヨーロッパ、アフリカ地区の中波ラジオ放送局の周波数割当て計画が9キロヘルツ間隔の同一周波数に統一され、それ以来ビート混信はなくなった。中波放送の特長は、機動力を生かした生番組、ローカルニュース、道路交通情報など、速報性、即時性にある。また、小型・軽量かつ低消費電力の受信機がつくれるので、災害時の緊急放送や、自動車など移動体への情報伝達手段として他にかえがたい利点をもっている。

 なお、建物密集による都市型難聴対策、地理的・地形的難聴対策、災害時対策などさまざまな目的のため、中波ラジオ放送の番組をFM放送の周波数で同時に放送するFM補完放送(ワイドFM放送)が2014年(平成26)から開始された。詳しい解説については「FM補完放送」の項目を参照されたい。

木村 敏・金木利之・吉川昭吉郎 2020年2月17日]

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改訂新版 世界大百科事典 「中波放送」の意味・わかりやすい解説

中波放送 (ちゅうはほうそう)

中波(526.5~1606.5kHz)を使用した振幅変調(AM)による音声放送。標準放送ともいう。電波の性質上,広範囲に安定した放送サービスが可能で,送受信いずれも比較的簡単な機械で高い信頼度が確保できるので,先進諸国いずれにおいてもラジオ放送の基本的サービスとして行われてきた。ラジオといえば中波放送というのがこれまでの音声放送であったが,ステレオ放送への嗜好が強まるにつれて,FM放送に人気が移りつつある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「中波放送」の意味・わかりやすい解説

中波放送
ちゅうはほうそう

「AM放送」のページをご覧ください。

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