陸上競技のトラック競走のうち、距離による分類の一つ。オリンピック種目では800メートル走、1500メートル走がこれに入る。両種目とも立ったままのスタンディング・スタートで、スターターの「On your marks(位置について)」からピストルの号砲にあわせてレースを始める。800メートル走は互いの接触を避けるため、第一曲走路の手前からそれぞれの走路(セパレートレーン)をスタートする。コーナーを100メートル回り直走路に入ったところでオープンとなり、トラックを2周する。1500メートル走は、最初からオープンスタートである。トラックを4周するが、スタートを第一曲走路の終わり近くに設けるため最初の1周は300メートルとなる。
両種目とも残り1周になると、それを告げる鐘が鳴らされる。長身で脚の長い選手が有利といわれるが、最後の1周は大混戦となることが多い。集団の中に挟まれると外側へ出てスパートする機会を失うため位置取りがむずかしい。選手間で格闘技に似た激しい位置取りを争う種目でもある。
オリンピックでは、800メートル走、1500メートル走ともに男子は1896年のアテネ大会から実施された。女子の800メートル走は、女子陸上が初めてオリンピックに採用された1928年のアムステルダム大会から登場した。日本の人見絹枝(ひとみきぬえ)が2位になったが、このとき参加選手全員がレース後倒れたため「女子に中・長距離は無理」として以後30年以上200メートルを超える種目が禁止された。だが女子の体力向上とともに、1960年のローマ大会で800メートル走が復活、1972年ミュンヘン大会からは1500メートル走も実施種目となった。
2020年3月時点での世界記録は、800メートル走男子はデイビッド・ルディシャDavid Rudisha(ケニア。1988― )の1分40秒91(2012年)、女子はヤルミラ・クラトフビロワJarmila Kratochvilova(当時チェコスロバキア。1951― )の1分53秒28(1983年)。1500メートル走男子はヒシャム・エルゲルージHicham El Guerrouji(モロッコ。1974― )の3分26秒00(1998年)、女子はゲンゼベ・ディババGenzebe Dibaba(エチオピア。1991― )3分50秒07(2015年)である。
[加藤博夫・中西利夫 2020年4月17日]
パラリンピックの車いす陸上では、100メートル走からマラソンまでの一大会個人6種目に挑戦し、すべてメダルを獲得した選手もいる。女子T54クラスで中距離種目に強いタチアナ・マクファデンTatyana McFadden(アメリカ。1989― )は瞬発力と持久力の両方を兼ね備え、2016年のリオ・デ・ジャネイロ大会で400メートル走、800メートル走、1500メートル走、5000メートル走に優勝、100メートル走とマラソンは2位で金4個、銀2個を獲得した。2012年のロンドン大会でも400メートル走、800メートル走、1500メートル走を制しており、パラリンピックで通算7個の金メダルを誇る。
[中西利夫 2020年4月17日]
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