丸髷(読み)マルワゲ

デジタル大辞泉 「丸髷」の意味・読み・例文・類語

まる‐わげ【丸×髷】

まるまげ」に同じ。
髪を丸く無造作に巻き上げた髪形
「毎日、髪かしら(=頭ノ髪)も自らすきて、―に結ひて」〈浮・永代蔵・二〉

まる‐まげ【丸×髷】

女性の髪形の一。後頭部楕円形のやや平たい髷をつけたもので、既婚者が結った。江戸初期の勝山髷かつやままげ原形。まるわげ。
江戸時代男性の髪形の一。本多髷一種で、刷毛先の丸いもの。

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精選版 日本国語大辞典 「丸髷」の意味・読み・例文・類語

まる‐まげ【丸髷】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 日本髪で、結婚している女性の髪の結い方。いただきに、楕円形でやや平たいまげをつけたもの。勝山髷。まるわげ。
    1. 丸髷<b>①</b>〈吾妻余波〉
      丸髷〈吾妻余波〉
    2. [初出の実例]「丸まげになるてふ桃の里はなれ」(出典:雑俳・柳多留拾遺(1801)巻一四下)
  3. まるまげほんだ(丸髷本多)」の略。〔洒落本当世風俗通(1773)〕

まる‐わげ【丸髷】

  1. 〘 名詞 〙
  2. まるまげ(丸髷)
    1. [初出の実例]「丸わけが渦まく影の柳髪〈卜琴〉」(出典:俳諧・続連珠(1676)四)
  3. 髪をぐるぐると巻き上げて結った庶民の髪風。
    1. [初出の実例]「丸わげは町がたにても下女のしわざなればすがたいたくいやし」(出典:評判記・色道大鏡(1678)三)

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改訂新版 世界大百科事典 「丸髷」の意味・わかりやすい解説

丸髷 (まるまげ)

日本髪の一種。江戸時代後期の勝山(かつやま)髷と同系統の髪形で,既婚女性が結う。楕円形の型を髷の中に入れ,丸形の髷に結いあげるのでこの名がある。年齢が若いほどこの髷形が大きく,中年老年と型も小さくじみになる。明治以降はこの髷の中に絹の鹿子絞りの手絡(てがら)を用い,装飾にした。これも若妻は赤地,中年は紫,藤色,浅黄など,老年は茶,黄土,鉄色,紺などを用い,手絡の色で年齢層が想像できた。
髪形
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「丸髷」の意味・わかりやすい解説

丸髷
まるまげ

女性の髪形の一種。勝山髷の別称で、おもに主婦の髪形を代表するものであった。丸髷とは、髷の形が横に丸い山形をしているところから名づけられ、江戸時代中期以降盛行するようになった。この髷にも、大形の鍋町(なべちょう)髷、権妻(ごんさい)髷などの新形を生じたが、明治の鹿鳴館(ろくめいかん)時代到来とともに洋髪束髪に押されてしまった。しかし、第二次世界大戦の前までは、農村などで、娘の婚礼のときの母親の髪形として普通にみられた。

[遠藤 武]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「丸髷」の意味・わかりやすい解説

丸髷
まるまげ

日本髪の一種。結婚した女性が結った髪型の代表的なもので,頂上に楕円形でやや平たい髷をつけたもの。天明年間 (1781~89) 頃から流行した。それ以前からあった勝山髷,明治に入ってからの鍋町髷,権妻髷,島田髷など,いずれも丸髷の部類。

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百科事典マイペディア 「丸髷」の意味・わかりやすい解説

丸髷【まるまげ】

日本髪の一種。江戸初期に流行した勝山髷の流れをくむもので,江戸後期から既婚女性の髪形になり,明治以後も広く結われた。髷は若いほど大きく,年齢が高くなるにつれ小さくなった。

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