丹生(読み)にう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「丹生」の意味・わかりやすい解説

丹生
にう

「にゅう」とも。三重県多気(たき)郡多気町の一地区(旧勢和(せいわ)村の中心集落)。旧丹生(にゅう)村。飛鳥(あすか)時代から水銀の産地として知られ(『続日本紀(しょくにほんぎ)』)、江戸期まで続いた。仏像めっき、建造物の朱塗りに使われ、1195年(建久6)の東大寺再建に丹生(にう)水銀2万両が献納されている(『東大寺造立供養記』)。江戸時代には伊勢白粉(いせおしろい)の原料として松坂商人を育てた。神宮寺に当時の採掘用具などが保存されている。

[伊藤達雄]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の丹生の言及

【水銀】より

…水銀はこの朱砂の鉱脈の表面から汗状に吹き出した自然水銀として得られるほか,朱砂を熱して水銀を気化させて得る方法がある。また奈良の大仏には金めっきするために大量の水銀アマルガムが消費されたが,〈真金吹く丹生のまそほの色に出て……〉という《万葉集》巻十四の東歌もこのめっき法をうたったものとされている。 水銀は適量を用いれば新陳代謝を促す作用をもつため,中国では丹砂から作った丹薬は不老長寿の薬として道士の秘術とされたが,一方で永遠の生命を得るべくこの延命の薬をのみすぎて死亡した皇帝や貴族も多かったらしい。…

【水銀】より

…水銀はこの朱砂の鉱脈の表面から汗状に吹き出した自然水銀として得られるほか,朱砂を熱して水銀を気化させて得る方法がある。また奈良の大仏には金めっきするために大量の水銀アマルガムが消費されたが,〈真金吹く丹生のまそほの色に出て……〉という《万葉集》巻十四の東歌もこのめっき法をうたったものとされている。 水銀は適量を用いれば新陳代謝を促す作用をもつため,中国では丹砂から作った丹薬は不老長寿の薬として道士の秘術とされたが,一方で永遠の生命を得るべくこの延命の薬をのみすぎて死亡した皇帝や貴族も多かったらしい。…

【水銀座】より

…中世,伊勢国飯高郡丹生(現,三重県多気郡勢和村)産出水銀の特権的な取引に従事した商人団。水銀とその原鉱辰砂は医薬品用,顔料白粉原料等として用途が広く,すでに文武・元明天皇のころから伊勢産水銀の貢納が行われていた。…

【勢和[村]】より

…ほかに林業も営まれ,シイタケ栽培も盛ん。先土器~弥生時代の遺跡が多く,丹生(にう)は,奈良時代から水銀の産地として知られた丹生神社とともにあり,丹生大師の名で有名な真言宗山階派の神宮寺や,重要文化財の《法然上人絵伝》を有する西導寺がある。村の北半分は香肌峡(かはだきよう)県立公園に含まれる。…

※「丹生」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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