普及版 字通 「乗」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 9画

(旧字)乘
人名用漢字 10画

[字音] ジョウ
[字訓] のる・つけこむ

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
旧字は乘に作り、禾(か)の上に人が二人登っている形。木に登ることをいう。卜文・金文字形は、禾ではなく、枝の上竦する高い木である。〔説文〕五下に「(おほ)ふなり」と訓し、字形について「入に從ふ。は黠(かつ)なり。軍法に乘と曰ふ」とする。黠は奸悪。それで乘を、人を凌ぐ意とするものであろう。〔説文〕は字を部に属し、黠の意を以て説くが、は木の両旁に人を(はりつけ)にすることで、梟殺(きようさつ)の字、乘は一人が木に登って遠く望見することをいう。卜辞に「乘」という族名があり、おそらく斥候を職とする者の氏姓であろう。すべて他の勢いをかりて行動することを、「乗ずる」という。

[訓義]
1. のる、木にのる、高いところにのる、のぼる。
2. つけこむ、つけいる、利用する。
3. しのぐ、おかす。
4. 一そろいのかず、二つ、四つ。馬乗は駟馬。兵車。
5. 土地の広さの単位。
6. 歴史、春秋の晋の歴史。
7. 掛け算の、かける。

[古辞書の訓]
名義抄〕乘 ノル・ノボル・アマス・ノリモノ・マモル・ノリ・スツ 〔字鏡集〕乘 ノリモノ・アマス・オホフ・スグレタリ・ハカラフ・ノル・シノフ・カノフ・ヒトツ・マホル・ノボル・カツ・ノリ・アマル・マモル

[声系]
〔説文〕に乘声として馬部の字を録し、馬(かいば)をいう。は〔玉〕に「(あが)るなり」とみえ、強壮の意。剩(剰)は(よう)の俗字で、無用のものをいう。

[熟語]
・乗雲・乗運・乗屋・乗化・乗鶴・乗間・乗機・乗居乗虚乗遽・乗興乗凶・乗・乗乗駒・乗具・乗空・乗計乗隙・乗軒・乗権・乗広・乗黄・乗国・乗乗槎・乗策・乗矢・乗志・乗日・乗車・乗舟乗除・乗城乗数・乗勢・乗正・乗石乗積乗船・乗治・乗潮・乗伝・乗電乗馬乗筏・乗皮・乗匹乗桴・乗風・乗辺・乗便・乗木・乗門乗輿・乗流・乗凌・乗竜・乗涼・乗輦・乗路
[下接語]
倚乗・一乗・騎乗・下乗・警乗・後乗・坐乗・驂乗・史乗・自乗・車乗・小乗・千乗・大乗・塔乗・同乗・陪乗・万乗・便乗・服乗・仏乗・野乗・立乗

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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