波が異なる媒質の境界面で反射するとき,境界面の凹凸が波長と同程度,あるいはそれより大きくなると反射波はいろいろな方向に広がる。これを乱反射あるいは拡散反射という。これに対して一定方向に反射波が生ずる場合を鏡面反射または正反射という。光が入射してから射出するまで何回も反射や屈折を繰り返すような塗料面の反射も乱反射の一種で,そのためいろいろな方向から目で物体を認識できる。反射光強度の分布が入射光の方向に依存せず,反射面を見込む立体角に比例するような場合,その反射面を完全拡散反射面と呼ぶ。内側を完全拡散反射面にした球を積分球といい,形の複雑な物体の吸収率や,光が曲がるレンズの透過率,四方に広がる蛍光の効率などの測定に用いられる。
→反射
執筆者:三須 明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
入射した光が不規則な方向に反射すること。鏡面(平面)のように、表面上の任意の1点で光学的な反射の法則を用いて反射光の方向を定めれば、他の点での反射光は改めて計算しなくても自動的に決まるような場合を正反射という。これに対し、磨(すり)ガラスのように表面に複雑な凹凸がある場合や、乳白色ガラスのようにある程度、中まで光が拡散浸入してそこで反射されて表面に戻ってくる場合は、表面の向きには関係なく各点からそれぞれ不規則な反射光が生ずる。これを乱反射という。乱反射の実体は、局所的にみればそれぞれの点で幾何光学的な正反射が生じている場合と、波動光学的な回折、散乱現象までも考慮しなければいけない場合とがあり、個々の事例ごとに異なっているから注意を要する。
[石黒浩三・久我隆弘]
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…波の波長に比べて境界面が滑らかであれば,反射の法則に従う方向に反射波が生じ,境界面の凹凸が波長と同じ程度であれば反射波はいろいろな方向に広がる。後者を乱反射といい,これに対して反射の法則に従う場合を鏡面反射という。 反射の法則には次の3項がある。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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