出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
相互に力を及ぼし合う二体の相対運動を求める問題。普通はニュートンの万有引力のもとでの二質点の運動をさす。二体の軌道の形は、二体の重心を焦点とする二次曲線となり、エネルギーの値によって楕円(だえん)、放物線、双曲線となる。運動の状況はケプラーの三法則で完全に記述できる。太陽の周りを運動する惑星・彗星(すいせい)、地球の周りを運動する人工衛星の運動は、近似的に二体問題として取り扱える。しかし二体問題として近似できる期間は短くて、長期にわたる運動を論ずるには、他の惑星による引力とか、地球が完全な球でないことによる力をも考慮しなければならない。相対論の効果を考慮すると二体問題の軌道は二次曲線でなくなる。その効果は、重力が小さい太陽系の場合には、近日点が移動する二次曲線で惑星の運動は近似できる。
[木下 宙]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…太陽系における惑星や衛星などの運動は,ケプラー運動に他の惑星の影響による摂動が加わったものであるが,一般に摂動は微小なので,多くの場合ケプラー運動そのものとみなしてよい。 太陽と1個の惑星のみが存在してしかも太陽も惑星も質点とみなすとき,その惑星の運動を求める問題を二体問題といい,解を厳密に求めることができる。太陽に相対的な惑星の軌道は,太陽を焦点にもつ楕円,放物線,双曲線のいずれかとなる。…
…精度を上げるために惑星間の引力や衛星の影響を考慮すると,多体問題を扱わなければならなくなるが,特殊の例外的な場合を除いて,多体問題を正確に解析的に解くことは不可能であることが証明されており,何らかの近似を用いることが必要である。相互作用だけで運動する二体問題は,重心の運動(等速度運動)を分離して相対運動に着目すると,一体問題に帰着するので正しく解ける。これらの事情は古典力学だけでなく,量子力学で電子などを扱うときにも同じである。…
※「二体問題」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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