二十八宿(読み)にじゅうはっしゅく

精選版 日本国語大辞典 「二十八宿」の意味・読み・例文・類語

にじゅうはっ‐しゅく ニジフ‥【二十八宿】

[1] 月・太陽・春分点・冬至点などの位置を示すために黄道付近星座を二八個定め、これを宿と呼んだもの。二八という数は月の恒星月二七・三日から考えられたといわれ、中国では蒼龍=東、玄武=北、白虎=西、朱雀=南の四宮に分け、それをさらに七分した。すなわち、東は角(すぼし)・亢(あみぼし)・氐(とも)・房(そい)・心(なかご)・尾(あしたれ)・箕(み)、西は奎(とかき)・婁(たたら)・胃(えきえ)・昴(すばる)・畢(あめふり)・觜(とろき)・参(からすき)、南は井(ちちり)・鬼(たまおの)・柳(ぬりご)・星(ほとほり)・張(ちりこ)・翼(たすき)・軫(みつかけ)、北は斗(ひつき)・牛(いなみ)・女(うるき)・虚(とみて)・危(うみやめ)・室(はつい)・壁(なまめ)
※教行信証(1224)六「二十八宿等 及以十二辰 十二天童女 護持四天下
読本・椿説弓張月(1807‐11)前「天の二十八宿(シュク)、地の三十六禽、みなその気を籠ずといふ事なし」 〔史記‐律書〕
[2] 〘名〙 連句様式の一つ。表六句・初裏八句・名残の表八句・名残の裏六句あわせて二八句を一巻とするもの。

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デジタル大辞泉 「二十八宿」の意味・読み・例文・類語

にじゅうはっ‐しゅく〔ニジフハツ‐〕【二十八宿】

古代中国で、月・太陽などの位置を示すために、赤道黄道こうどう付近で天球を28に区分し、それぞれを一つの宿としたもの。月はおよそ1日に一宿ずつ動く。
[補説]かく(すぼし)・こう(あみぼし)・てい(ともぼし)・ぼう(そいぼし)・しん(なかごぼし)・(あしたれぼし)・(みぼし)・(ひきつぼし)・ぎゅう(いなみぼし)・じょ(うるきぼし)・きょ(とみてぼし)・(うみやめぼし)・しつ(はついぼし)・へき(なまめぼし)・けい(とかきぼし)・ろうたたらぼし)・(えきえぼし)・ぼう(すばるぼし)・ひつあめふりぼし)・(とろきぼし)・しん(からすきぼし)・せい(ちちりぼし)・(たまおのほし)・りゅう(ぬりこぼし)・せい(ほとおりぼし)・ちょう(ちりこぼし)・よく(たすきぼし)・しん(みつかけぼし)の28。
書名別項。→二十八宿
連句の形式の一。初表しょおもて6句・初裏8句、名残の表8句・裏6句の28句を一巻としたもの。

にじゅうはっしゅく【二十八宿】[書名]

横瀬夜雨詩集。明治40年(1907)刊行

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「二十八宿」の意味・わかりやすい解説

二十八宿
にじゅうはっしゅく

赤道、黄道の付近で天球を28の不等な部分に分けて設けた星座。この星座を宿とよぶ。元来は、月の天球上の位置を表示するために中国で生まれたもので、その時代については周代初期(前1100ころ)といわれる。各宿でめぼしい1個の星を選び、これを距星と名づけ、これから赤道に沿って測った角距離を入宿度と称して星の位置を表したものである。これに似たものとして、インドでは昴宿(ぼうしゅく)を起点として、牛宿を抜いた二十七宿が用いられた。インドの宿は日の吉凶迷信を伴っており、唐代に中国を経て日本にも伝わり、七曜とともに10世紀末から具注暦に記載されるようになった。月、日に宿を配し、これに迷信的な注が付加されていた。

[渡辺敏夫]

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世界大百科事典 第2版 「二十八宿」の意味・わかりやすい解説

にじゅうはっしゅく【二十八宿 èr shí bā xiù】

中国天文学で用いられた赤道帯の区分法。二十八舎ともいう。赤道に沿って周天を28の不等間隔に分け,天体の赤道方向の位置を表すために用いられた。各宿の西端にある明るい目印の星を標準星(距星という)としたが,この標準星から東隣の宿の標準星までがその宿の赤道広度(赤道宿度)である。中国では周天度を360゜ではなくて,1回帰年の長さにあたる値,たとえば四分暦の場合は3651/4度などとしたため,端数の部分が生じるが,その端数は斗宿に集め,それを斗分とよんだ。

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百科事典マイペディア 「二十八宿」の意味・わかりやすい解説

二十八宿【にじゅうはっしゅく】

天の赤道帯を28個に区分したもの。古代中国,インドで用いられた。月が約27.3日(恒星月)で天球を1周するので,1日で1宿を通るよう設定されたという。各宿にはいちばん明るい星が最も西側にあり,これを距星という。
→関連項目暦注

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世界大百科事典内の二十八宿の言及

【随】より

…副葬品は楽器,銅礼器,武器,金器,玉器,漆木竹器,竹簡など7000余点があり,なかでも3層の木製の横木にかけられた,最大が高さ153.4cmある64点の編鐘と鎛鐘1点,編磬32点,鼓,瑟,排簫などの楽器のセットはとくに注目される。また漆箱のふたには青竜,白虎と朱書きされた二十八宿の名称のある図があり,二十八宿の考えが早く中国におこったことを示す。銅礼器のセットや高度の鋳造技術を駆使した銅器も注目される。…

【星座】より

…初期の時法と結びついた北斗七星などは古くから注目され,また《詩経》に現れる星座のほかに,四季の目印とされた鳥(うみへび座α),火(さそり座α),虚(みずがめ座β),昴(ぼう)(おうし座プレヤデス=すばる)のような星や星座も《書経》に見える。赤道帯に沿った二十八宿の星座体系も前8~6世紀の春秋晩期には成立していたが,4世紀に魏の石申,斉の甘徳らによって星座が体系化された。司馬遷はこの伝統を集成して《史記》天官書を書いたが,天人相関説にのっとって星座を官階に比して天官とし,北極を中心とした中官と,二十八宿を7宿ずつに分けて東,西,南,北の4官に区分した星座群が記録されている。…

【星宿】より

…〈しょうしゅく〉とも読まれ,古代中国において天球上の28の星座を意味する二十八宿のことであるが,仏教の尊像としては〈星宿〉より〈宿曜(しゆくよう)〉という語があり,二十八宿をはじめ十二宮,七曜および九曜なども含め,星や星座を神格化した諸尊を総称していう。これらは単独で信仰され造像されることはないが,密教の修法である北斗七星法に用いる北斗曼荼羅(星曼荼羅)の中に表される。…

【星】より

…これが今日の星座の原型である。また中国でも,黄道を月の毎月の旅から二十八宿に区分し,全天の星をそれぞれに付属させて,皇帝,后妃(こうき)を初め多く宮廷関係の名をつけた。こうして五惑星がめぐっていく星座,星宿を観察し,またその通路にあたらぬ部分でもそこの星々の光,またたきなどを見て,国家,国君および個人の運命をも占った。…

※「二十八宿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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