新潟県中央部の市,2006年1月旧五泉市と村松(むらまつ)町が合体して成立した。人口5万4550(2010)。
五泉市北部の旧市。阿賀野川と早出(はやいで)川の合流点付近に立地する機業都市。1954年五泉町と巣本,川東,橋田の3村が合体,市制。人口3万7282(2005)。郷屋川など五つの川が市街を流れ,市名の由来を示している。寛保年間(1741-44)仙台平(せんだいひら)の織法を導入改良し,五泉平と呼ぶ袴地が生産され,近代には竜門,羽二重,平絽などの高級絹白生地産地となった。近年は精華,駒絽,綸子などの高級織物を生産している。第2次大戦後織物業界はメリヤスの生産に大転換し,スーツ,セーター,カーディガンなどのニット製品は市を代表する産業に成長した。市の東部,阿賀野川左岸に咲花温泉がある。この阿賀野川筋に発生する〈白だし〉と呼ぶフェーン現象で市はたびたび大火を出した。JR磐越西線が通り,蒲原鉄道が分岐していた(1999年廃止)。
執筆者:磯部 利貞
五泉市中南部の旧町。旧中蒲原(なかかんばら)郡所属。人口1万9680(2005)。阿賀野川支流の早出川,能代川上流域を占め,町域の過半が山林である。旧五泉市と加茂市の間に位置し,旧五泉市とは蒲原鉄道で結ばれていた(1999年廃止)。中世には菅名(すがな)荘のうちに含まれた。近世は堀氏3万石(村松藩)の城下町であった。1896年陸軍第2師団歩兵30連隊が置かれて以来,第2次大戦が終結するまでは軍都として栄えた。山村部は旧藩時代からの村松茶,村松縞の特産地として知られ,戦後は旧五泉市とともにニット産業が盛んになっている。1946年に中心街の8割を焼失する大火に見舞われた。早出川上流は奥早出粟守門(おくはやいであわすもん)県立自然公園に指定,78年早出川ダムの完成により,ダム周辺の観光施設の整備も進められた。愛宕山麓の村松公園は桜の名所として有名。
執筆者:佐藤 裕治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
新潟県の中央を流れる阿賀野(あがの)川の谷口左岸にある都市。1954年(昭和29)五泉町と巣本(すもと)、川東(かわひがし)、橋田の3村が合併して市制施行。2006年(平成18)中蒲原(なかかんばら)郡村松町(むらまつまち)を合併。阿賀野川沿いにJR磐越西線(ばんえつさいせん)が通じる。また磐越自動車道、国道290号が通る。市域は阿賀野川の支流早出(はやで)川の扇状地面の伏流地下水源に恵まれ、養鯉(ようり)業が盛んである。阿賀野川谷口の「白ダシ」とよばれるフェーン風のだしかぜ(出風)(陸地から海に向かって吹く風)が名物で、たびたび全市を焼失する大火にみまわれてきた。
近世は「仙台平(ひら)」の技法を取り入れて改良された「五泉平」の袴(はかま)地が名産で、明治時代には輸出羽二重(はぶたえ)、平絽(ひらろ)、糸織(いとおり)などの絹織物を特産した機業地であった。第二次世界大戦後はニット製品業に転換し、全国にメリヤス、ニット製品を出荷する織物基地として知られている。古くからの五泉羽二重、絽などの絹織物生産も行われる。阿賀野川ラインの入口にあたり、咲花(さきはな)温泉、延命(えんめい)地蔵尊、小山田ヒガンザクラ樹林(おやまだひがんざくらじゅりん)(国の天然記念物)、お葉付イチョウなどの名所も多く、清酒などの名物がある。面積351.91平方キロメートル(一部境界未定)、人口4万7625(2020)。
[山崎久雄]
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