五行本(読み)ゴギョウボン

デジタル大辞泉 「五行本」の意味・読み・例文・類語

ごぎょう‐ぼん〔ゴギヤウ‐〕【五行本】

義太夫節詞章を書いた版本一種省略なしに全段を書いた丸本に対して、一部分だけ抜き出したもの。太夫が見やすいように、大きい字で1ページに五行の割で書いてあるところからいう。稽古本

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精選版 日本国語大辞典 「五行本」の意味・読み・例文・類語

ごぎょう‐ぼんゴギャウ‥【五行本】

  1. 〘 名詞 〙 義太夫節の太夫が床で語るために用いる本。太夫が見やすいように、大字で一ページ五行に一段だけ書く。五行床本。
    1. [初出の実例]「下手(へた)あればこそ稽古屋も立ち、五行本も売れる」(出典:楽屋図会拾遺(1802)上)

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百科事典マイペディア 「五行本」の意味・わかりやすい解説

五行本【ごぎょうぼん】

浄瑠璃長唄稽古(けいこ)本。詞章に節付けを施してあり,各ページの行数は古くは9行,8行,7行などもあったが,義太夫物段物を収めたものは多く5行であったため俗にこう呼んだ。

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世界大百科事典(旧版)内の五行本の言及

【義太夫節】より

…ところが人気曲は語る機会が多く,稽古用の本も需要が多いので,板本として刊行した。これを稽古本とか,多く五行に書いているので五行本とかいう。やはり需要が多かった道行,景事を何曲か収載した段物集と称する板本も刊行された。…

※「五行本」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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