些とも(読み)チットモ

デジタル大辞泉 「些とも」の意味・読み・例文・類語

ちっと‐も【×些とも】

[副]
打消しの語を伴って、それを強める気持ちを表す。少しも。まったく。「些ともうまくない」「些とも気にしてない」
物事程度がわずかなさま。少しでも。
世間の口がうるそうがすから、今日の所は―早く失礼しやす」〈谷崎・幇間〉
[類語]全然全く一向さっぱりまるきりまるで少しもからきし皆目一切まるっきり何らとんといささかも毫も微塵も毛頭更更何もなんにも何一つ一つとして到底とても全くもってどだいてんで寸分一寸寸毫毫末夢にも

ちと‐も【×些とも】

[副]ちっとも」に同じ。
「―法則規律を知らざる自然の才子に劣りつべし」〈逍遥小説神髄

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「些とも」の意味・読み・例文・類語

ちっと‐も【些も】

  1. 〘 副詞 〙
  2. 副詞「ちと(些)」を強めた言い方。少しでも。いささかでも。しばらくでも。
    1. [初出の実例]「鏡もちっとも手を著けば自然の光を昧ますぞ」(出典:足利本人天眼目抄(1471‐73)中)
    2. 「こっちは昼の労れでちっとも早く寐てへと思居るに」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)三)
  3. ( 下に打消表現を伴って ) 少しも(…ない)。全く(…しない)。ちとも。
    1. [初出の実例]「為朝ちっともさはがず、づむと立て」(出典:金刀比羅本保元(1220頃か)下)
    2. 「天下が如此に彊と云に服したほどに、ちっともはたらくまいぞ」(出典史記抄(1477)八)

ちと‐も【些も】

  1. 〘 副詞 〙ちっとも(些━)
    1. [初出の実例]「火をつけたれば、ひるにはちともおとらずして」(出典:平家物語(13C前)九)
    2. 「文公の心中と云物は、ちとも詐がない人ぞ」(出典:古活字本毛詩抄(17C前)三)

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