亜炭(読み)あたん(英語表記)lignite

精選版 日本国語大辞典 「亜炭」の意味・読み・例文・類語

あ‐たん【亜炭】

〘名〙 (石炭に亜(つ)ぐ意) 炭化度の低い石炭の一つ褐色または黒褐色木質組織を残しているものもある。主として第三紀地層中に存在亜褐炭。磐木(いわき)

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デジタル大辞泉 「亜炭」の意味・読み・例文・類語

あ‐たん【亜炭】

褐炭一種で、炭化程度が低く、発熱量の小さいもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「亜炭」の意味・わかりやすい解説

亜炭
あたん
lignite

太古樹木石炭化過程で変化したものとして、もっとも石炭化が進んでいない石炭であり、石炭分類上、褐炭に含まれる。木材組織の形を残しているものを木質亜炭、それをほとんど消失しているものを泥質亜炭という。炭素含有量は66~70%程度で、水分灰分を多く含み、発熱量は1キログラム当り3000~4000キロカロリー程度で、燃料価値は低い。地質年代では石炭紀からペルム紀に属するものもあるが、概して新しい年代に多い。生成機構に関しては定説がないが、埋没深度が浅く、地熱の作用をあまり受けなかったものと考えられる。生産地としてはアメリカのノース・ダコタ亜炭が有名である。日本では宮城、山形、岐阜などの諸県に産するが、いずれも小規模、地域的なものとなっている。

[大内公耳・荒牧寿弘]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「亜炭」の意味・わかりやすい解説

亜炭
あたん
lignite

石炭のうち,炭化度の低いものをいう。鉱業法では石炭と区別して扱うが,学術的には褐炭に含められる。木質亜炭は木理を有し灰分が少ないが,採掘後放置して乾燥すると板状に湾曲して剥離したり,小片に破砕しやすい。炭質亜炭は乾燥すると粘土が乾燥したときのように亀裂を生じる。石炭よりも水分,酸素の含有量が多く,炭素含有量は少ないので,発熱量は低い(約 4000kcal/kg)。日本ではおもに東北地方で産出され,工業燃料や一部原料として利用されている。主要な多産国はドイツ,東ヨーロッパ諸国などである。

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世界大百科事典 第2版 「亜炭」の意味・わかりやすい解説

あたん【亜炭 lignite】

広い意味の石炭のなかで,生成が地質年代的に最も若く,したがって石炭化度が最も低いものを,日本で亜炭と称している。その地層は,新生代新第三紀に属する。淡褐色~褐色で木材の組織が明らかに残っている木質亜炭と,光沢のない褐色~暗褐色で固い土くれのような感じの炭質亜炭の別がある。掘り出した状態では50~70%の水分を含み,乾燥すると板状にはがれたりひび割れたりして粉化する。乾燥しても発熱量は低い。日本各地に分散していて数億tの亜炭が埋蔵されているが,個々の炭田の規模は小さい。

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百科事典マイペディア 「亜炭」の意味・わかりやすい解説

亜炭【あたん】

炭化度の低い石炭,褐炭のうち発熱量の低いもの。木質あるいは炭質,湿分20〜30%。燃料用価値は低いが,第2次大戦後の一時期,使用された。
→関連項目褐炭石炭炭鉱

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岩石学辞典 「亜炭」の解説

亜炭

褐炭(brown coal)と同義.亜炭は行政上名付けられた日本独自の名称[地学団体研究会 : 1996].

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化学辞典 第2版 「亜炭」の解説

亜炭
アタン
lignite

[同義異語]褐炭

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世界大百科事典内の亜炭の言及

【褐炭】より

…広義の石炭を石炭化度によって二大別するとき,石炭化度の低い範囲のものを褐炭,高い範囲のものを狭義の石炭という。この場合の褐炭brown coalは,広義の石炭を石炭化度によって4段階(無煙炭,歴青炭,亜歴青炭,褐炭)に区分をしたときの亜歴青炭(石炭化度の高いほう)と狭義の褐炭lignite(低いほう)を包含する。日本でもこの4区分はあるが,普通は褐炭という呼び方はされず,褐炭のうち,とくに石炭化度の低いものを亜炭とし,それ以外は石炭と総称している。…

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